クリエイター向けの設計が好評
「Lovart AIにはプロダクトマネージャーはいない。その代わり、AIに考え方を教えるデザイナーを置いている。Lovart AIのツールの世界では、共同作業スペース『ChatCanvas』が物理的な作業机(デスク)と同じ役割を果たす。エージェントはあなたのチームメイトだ」とチェンは語る。
このツールをすでに使ったデザイナーからも同様の声が上がっている。「MidjourneyやLeonardoと比べて、UXがとてもスムーズだ」とあるユーザーは掲示板Redditに書き、「エンジニア向けではなく、クリエイター向けに作られている感じがする」と評価した。
また別のユーザーは「細かい調整をしなくても、超高精細なビジュアル素材が得られる」と称賛した。さらに、ポスターからUIフロー、3Dモデルまで40種の完成度の高いアセットを1度に生成できる点も、このツールの差別化要因としてたびたび挙げられている。
アイデア出し用途では満点、細かな修正は苦手
筆者もこのツールを1カ月使ってみて、その創造性に驚かされることが多かった。特にアイデア出しの用途としては満点だ。ただし、細かな修正は苦手だ。ツール内の修正ツールを使うよりも、最終的にはLovart AIの成果物をPhotoshopに移して仕上げた方が早かった。結果はクライアントにも好評だった。
Lovart AIのプレスリリースでは、ファッションデザイン、化粧品デザイン、SNS動画などの作例が公開されており、さまざまなクリエイティブ用途やデザイン用途で役立つツールであることをアピールしている。
競合に見据える企業は、アドビとCanvaの2大巨頭
Lovart AIが競合に見据える企業は、アドビとCanvaの2大巨頭だ。Statistaのデータによると、アドビはグラフィック・デザインソフトウェア市場において80%という圧倒的なシェアを握っている。Canvaは、それに続く12.5%のシェアだ。
そしてアドビは、エンタープライズ向けとして、Creative Studioに画像・動画生成AI機能Fireflies AIを統合し提供している。Canvaは、Leonardo AIを買収し、自社のツールに統合した。Lovart AIは、このきわめて混み合った市場において、新たな挑戦を開始しているというわけだ。
資金調達よりも、利用者数の拡大に注力
Lovart AIは、これまで外部からの資金調達を公表していないが、一部の報道では750万ドル(約11億円)のシード調達に向けた交渉が進行中だという。しかし、Lovart AIは目下のところ、資金調達よりも利用者数の拡大に注力しており、ローンチ当日は新興プロダクトの発表の場として知られるProduct Huntで1位を獲得。DiscordやRedditでも話題となった。「まるでFigmaとMidjourneyに子どもができたようだ」とあるユーザーは投稿していた。
Lovart AIのツールは現在、無料プランと有料プランの両方が利用可能になっている。
(forbes.com 原文)


