スマートホーム産業において最大のブランドと言えるのが“学習するサーモスタット”のNestだ。9月1日、Googleの新組織体制、Alphabetの1部門としても注目のNestが新製品を発表した。
Nestは今後、ユーザの温度設定と生活パターンを学習することで家の快適さを維持し「電気代を節約することも可能だ」と売り込んでいる。
250ドルで発売される新モデルは、外見的にはより大きく、薄くなり、明るく高精度なディスプレイ(229ピクセル/インチ)を搭載。ユーザが25フィート(7.62メートル)まで近づくと画面が表示される“Farsight”という機能も追加された。
また、WiFi接続に関しては従来の2.4GHzではなく5GHzを使用するため、接続の安定性も向上する。スマートフォンで人気が高まる低消費電力Bluetooth(BLE)にも、今後のアップデートにより対応する。
以前は3つだけだった温度センサーが、10個に増強された点も注目したい。Nestは端末内部の温度を測定し、測定した外気温を補正することで、より正確な室温測定が可能になる。
前回のNestは2012年に出荷された。今年6月にグーグルはWiFi接続されたセキュリティカメラのNest Camと、煙と一酸化炭素の警報装置の新モデルを発表している。
新型Nestは9月1日から発売される。今回のバージョンはアップルストアでは販売されないが、オンラインでの販売とベストバイ、Googleストア、Lowe's、ホームデポ、Sam's Club、Target、Verizonストア等の小売店にて販売される。Nestはまた提携先の公益事業や電力企業などの企業を通じて、割引価格で販売される。
Nestには競合他社製品が複数存在する。アップルのecobee3がその代表として挙げられる。ecobee3はアップルの最新のスマートホーム通信プロトコルHomeKitに準拠し、iOS端末と同期するため、Nestの強力なライバルと見られている。
Nestは2014年にGoogleから32億ドル(約3870億円)で買収された。それ以来、同社はWiFiベースのセキュリティカメラ企業のDropcamを5億ドルで買収した件を除けば、あまり目立った動きを見せなかった。しかしながら、今回の新型Nest発表に際し、より多くの情報を公開しつつあるようだ。
Nestのマーケティング資料によると、この製品は既に“数百万”の家庭で使用されているという。