ピッチよりも長い、アドバイザーとの手厚い対話
HVC デモデイのピッチプログラム当日。会場にはリードアドバイザーの小栁、スタンフォード大学医学部教授のダリア・モシーローゼン教授、スタンフォード大学所属で医療機器専門のVCも運営する池野文昭、外資系製薬会社の要職らが集結した。会場には300人以上のオーディエンスが駆けつけた。
1人に与えられたピッチ時間は各7分間。ピッチ後、アドバイザーらとピッチより長い8分間のディスカッションの時間が設けられた。ピッチの最後には、主催や後援企業から特別賞が贈られる。
Biotech部門からは8社が登壇。「万能細胞」ともいわれるiPS細胞技術を用いた再生医療の開発や、病因を分子レベルで分析して新たな治療法や創薬に繋げようとするアプローチが目立った。京都大、東京科学大、東京慈恵会医科大などのアカデミア研究ベースの発表が続いた。
Medtech部門からは7社が発表した。独自のテクノロジーで医療の現場を変えるソリューションが次々に紹介され、たとえばアルツハイマー病や認知症の早期発見や診断に貢献する技術、在宅医療機器のアップデートに挑む企業や、先進医療として脳に直接コンピュータを埋め込むブレーン・コンピュータ・インターフェイスの開発に挑むといった発表もあった。

注目すべきは、こうしたピッチの後の、アドバイザーからのコメントの手厚さだ。たとえば、ピッチ後にはこのような質問が次々に飛び交う。
「このプロジェクトの市場規模はどれほどあると見ているのでしょう?」「この化合物では、投与できる量に制限があるのでは」「コンセプトのブラッシュアップがもう少し必要かもしれない」「メカニズムをもっと明確にすべきかもしれない。その面でサポートできるパートナーはいるのですか?」「生産コストはどう考えている?依頼できるCDMO(医薬品開発製造受託機関)はあるのか」「もう少しユニークさを説明してほしい。あなたのサイエンスはどこがどう革新的といえますか?」
海外から来た面々も多く、この時点ですでにグローバルスタンダードを目掛けられるというのがHVC KYOTO特有の光景だといえるだろう。登壇者1人に対してアドバイザー3〜5人が次々に質問やインサイトを投げかけていく。こうした光景が最後のピッチまで一様に活発に議論された。ピッチプログラムはさながら公開ワークショップのようにして進んだ。



