モビリティ

2025.07.28 10:00

自動運転で注目、「高精度位置情報」のSwift Navigationが累計370億円調達

AndreyPopov / Getty Images

車両の位置認識の向上が急務とされる背景

車両の位置認識の向上が急務とされる背景には、GMの「スーパークルーズ」やフォードの「ブルークルーズ」などレベル2プラスの自動運転システムに魅力を感じ、それに対価を払う意欲を持つ顧客たちが、さらなる性能を求めていることが挙げられる。

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「自動運転を新たな環境へ広げていくと、どうなるか? 木が増え、建物が増えるんだ」と、GMのテクニカル・フェローであるカーティス・ヘイは、4月にアメリカン・センター・フォー・モビリティで開かれた、スウィフト・ナビゲーションも参加したパネルディスカッションで語った。「こうした問題は、今後自動運転を高速道路などに展開していくうえで、ますます重要な課題になってくる。だからこそ、私たちはそれらを解決しなければならない」。

スウィフト・ナビゲーションのハリスは、高精度な測位が安全性の向上につながるだけでなく、より正確な位置検出によって自動車のレーン維持動作がスムーズになり、乗員の快適性も向上すると指摘している。

コストを抑える取り組み

しかし、こうした技術にはコストがかかる。しかも今は、自動車の価格が高騰している。ケリー・ブルー・ブックがまとめた6月の新車の平均取引価格は4万8907ドル(約720万円)にも達していた。

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「この技術を搭載することで、車両価格がさらに2000ドル(約29万円)や3000ドル(約44万円)も上がってしまうなら、それは受け入れ難い」と、経営コンサルティング会社Plante Moranのパートナー、マーク・バロットは4月のパネルディスカッションで語った。「手ごろな価格でなければならないし、実用的であることも重要だ。さらに、消費者がその使い方や得られるメリットをきちんと理解できなければ意味がない」。

ハリスは、スウィフト・ナビゲーションのSkylarkのシステムが、高価格な高精細(HD)地図ではなく、低コストの標準解像度(SD)の地図上でも正確な位置情報を提供できるため、コストの問題に対応できていると説明した。

「これは、地理的に分散したネットワークに基づいて車両に組み込まれるデータサービスだ。そのため、継続的なソフトウェアコストはかかるが、LiDARのような高価なセンサーを搭載するのに比べれば、ごくわずかなコストで済む」とハリスは語った。「つまり、ADASシステム向けに手頃な価格帯で提供できることになる。車両に大きなコストを上乗せすることにはならない」。

ハリスによるとスウィフト・ナビゲーションは、新たな投資家の支援を受けて、自社の高精度位置情報技術の応用範囲を広げており、屋外で活動するロボット、電動スクーターのようなマイクロモビリティ車両、さらにはフリート追跡、荷物のデリバリーといった分野への展開も進めているという。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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