長らく「チーム」は職場の基本単位とされてきたが、今の働き方にはこのモデルが合わなくなっている。私たちは今、「チーム」から「コミュニティ」への転換期を迎えているのだ。実際の仕事の進み方に適した新たな構造への移行である。
かつて、組織図には意味があった。上司は部下の仕事を管理し、同僚はともに業務に取り組む存在だった。マネージャーにとって部下は、自身の責務を遂行するためのリソースだった。
しかし今日の組織図は、実際の働き方をもはや反映していない。
マイクロソフトが発表した2025年版『Work Trend Index』によれば、従来の組織図に代わり、より動的な「ワークチャート」への移行が進んでいるという。私たちの多くがすでに体感しているように、仕事はますます流動的になっている。役割は絶えず変化し、人は複数のプロジェクトや組織の枠を越えて貢献する。そして今では、私たちは文書の起草、会話の要約、ワークフローの自動化、意思決定の加速といった業務を担うAIエージェントと共に働くようになった。
もしワークチャートが新たなコラボレーションの地図であるならば、それを現実のものとするためには新たな構造が必要である。その構造こそが、チームではなくコミュニティなのである。
なぜ組織図は機能しなくなったのか
20世紀の大半において、組織が業務を拡大する手段はシンプルだった。人を増やせばよかったのだ。組織図もそれに応じて拡大され、明確な階層と役割、そして部下から価値を創出するためのマネージャーによる管理体制が構築された。
だが10年ほど前から、仕事は分解され始めた。プラットフォームやエコシステムの発展により、企業は外部の人材や能力を所有せずとも利用できるようになった。コントロールせずに協業し、人を雇わずにスケールする手段が生まれたのだ。これにより、従来の組織図の横に、フリーランス、ギグワーカー、外注チーム、パートナーシップなどによる分散型の価値創出ネットワークが生まれた。
そして今、私たちはさらに次の段階に入っている。AIの台頭により、企業は人材だけでなく知能もオンデマンドで利用できるようになった。人員を増やすことや外部パートナーを拡充するのではなく、AIエージェントをワークフローに組み込むことで、業務能力をスケーリングしているのである。現在のチームには、もはや人間と技術の両方が含まれている。
だがこのモデルは、人間が求めるつながりや帰属意識には応えられない。私たちは、業務の人間的側面を整理し、連携し、つなげるための新たな方法を必要としている。
その解となるのが、コミュニティなのである。



