リーダーシップ

2025.07.28 12:30

組織づくりは「目的でつながるコミュニティ」の時代へ AIと人の混在チームでは限界

Shutterstock.com

チームは安定のために、コミュニティは流動性のために

従来のチームは、予測可能性を前提に設計されていた。明確な責任範囲、安定した目標、明示された責任体制を前提として、単一のリーダーの元で、長期的な信頼関係を築くための「チームビルディング」が行われてきた。

advertisement

しかし、今の現実はそれとは異なる。たとえば、プロダクトデザイナーがマーケティング主導のカスタマージャーニー改善に関与しながら、同時にIT部門とAI導入の助言も行っているといった状況では、チームの境界線は曖昧になる。さらに、ワークフローの一部を自律的に担うAIエージェントが方程式に加わったことで、固定的なチームという概念は、時代遅れであるどころか、むしろ非効率にさえ感じられるようになった。

いまや仕事は部門ではなく、個々の課題に基づいて構成される。人々は課題解決のために集まり、解決したら次へと移っていく。このような変化をワークチャートは反映している。だが、それを実践に落とし込むためには、仕事そのものと同じくらい流動的な構造が必要である。

その構造こそがコミュニティなのである。

advertisement

コミュニティは実際の働き方を反映する

チームが任命によって形成されるのに対し、コミュニティは目的によって生まれる。共通の課題、関心、専門領域を軸に自然発生的に形成されるのだ。人々は、貢献したいことや学びたいことがあるから参加する。参加は柔軟で、リーダーシップも非公式であることが多い。価値は上下関係によってではなく、参加によって生み出される。

こうしたコミュニティは、単なる「和気あいあいの場」ではない。意図的に設計されたコミュニティは、業務遂行のための中核インフラとなる。知識が組織の壁を越えて流れ、属人的だった知識や経験がコミュニティ内に広がり、作業の可視化によって重複が減り、学習が加速し、イノベーションが生まれる。

タスクの遂行者がAIエージェントに代替されつつある今、人間同士のコラボレーションの重要性はむしろ増している。私たちはもはや、チェックリストをこなすために協力するのではない。複雑さを理解し、より良い問いを立て、仕事に意味を見いだすために協力するのである。

この変化は、マネージャーの役割も変える。人とAIエージェントを共にマネジメントする時代において、マネージャーは業務を管理するための存在ではなく、文脈の提供者になる。マネージャーは、明確さを与え、コミュニケーションや協力を促し、ダイナミックなエコシステムの中で協働を支える存在になるのだ。

しかし、その役割をマネージャーひとりで担うことはできない。人と人が出会い、迅速に方向性を合わせ、自由に知識を共有できる構造が必要である。人とAIとが目に見える貢献を生み出し、オープンな場で試行錯誤し、互いの成果を土台に発展させていける空間が求められている。

そうした空間は、チームでは実現できない。だが、コミュニティなら可能である。

次ページ > チームからコミュニティへの移行を始めよう

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事