レハム・ファギリは、フィラデルフィアからニューヨークに引っ越す際、家具を処分するためにフェイスブック・マーケットプレイスと地元向けオンライン掲示板サービスのクレイグリストに出品した。彼女はその時、急成長するビジネスを立ち上げるきっかけになることに気づいていなかった。
ファギリの投稿には多くのユーザーが興味を示したものの、約束した通りに現れない購入者もおり、彼女は販売体験に不満を覚えたという。そして、プラットフォームに決済機能や配送機能が標準装備されていることを願った。また、独身のファギリは、過去に自宅で男性が暴力的になって恐怖を覚えた経験から、対面での販売にリスクを感じていた。「自分のプライベートな空間で他人に物品を販売することに不安を感じた」と彼女は言う。
スーダン出身のファギリは、親戚の多くが小さなビジネスを運営している環境で育った。「事業の立ち上げを何度も目撃してきた」と彼女は言い、いつかは自身も起業家になりたいと考えていた。ファギリは、メリーランド大学で工学を専攻し、ペンシルベニア大学でMBAを取得した後、ゴールドマン・サックスでエンジニアリングマネージャーとして勤務した。彼女は、これらの経験を通じて自身のアイデアを実現するための技術とビジネススキルを習得し、ついに起業のチャンスが訪れたことを悟ったという。
ほどなくして、ファギリはウェストエルムやジョナサン・アドラー、ポタリー・バーンなどの人気ブランドを最大70%オフで購入できるピアツーピア(P2P)の家具販売サイト「AptDeco(アプトデコ)」を立ち上げた。共同創業者で最高収益責任者(CRO)のカラム・デニスは、元ロレアルのヴァイスプレジデントで、メイベリンマスカラ カグレイトラッシュなどの有名ブランドを成長させた経歴を持つ。また、オペレーション担当ディレクターには、アマゾン・フレッシュで最大規模のフルフィルメントセンターを立ち上げ、運営を担当したベン・ゴミラが就任した。アプトデコのプラットフォームは、オンライン決済やトラブル解決プロセスの機能を搭載しているほか、テクノロジーを活用した物流システムを通じて全国配送を提供している。
アプトデコが競合他社と大きく異なるのは、倉庫を設けていない点にある。同社では、従業員が配送用バンで家具を回収し、独自の配送業者ネットワークを活用して購入者に届けている。これにより、購入者自身が売主の自宅から家具を運ぶ必要がある他のプラットフォームに対して優位性を発揮している。ファギリによると、現在の従業員数は50名で、累計売上高は約1億ドル(約148億円)に達し、今年度は黒字化を達成する見込みだという。
アプトデコは2014年の設立以来、Yコンビネータのアクセラレータープログラムに参加し、これまでに5回の資金調達ラウンドでモルガン・スタンレー、リキッド2ベンチャーズ、グレートオークス・ベンチャーキャピタルを含むベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から累計2000万ドル(約29億7000万円)を調達している。ニューヨーク市に本拠を置く同社は、ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカットの3州に最も多くの顧客を有している。



