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2025.07.21 11:00

感情を読み取れない「Z世代の眼差し」 2030年に職場の多数派となる世代との向き合うために

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若い世代の仕事へのアプローチは、上の世代と異なる

若い世代の仕事の取り組み方は、上の世代とは異なっている。新型コロナのパンデミック時、Z世代の対面での接触はコンピューターを介してのものに取って代わられ、発達の重要な段階で通常の社会交流を奪われた。その結果、Z世代は世間話の仕方や初対面の人との接し方がわからないと考える専門家もいる。

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実際、無表情は車のヘッドライトに照らされた鹿のような、トラウマに直面したときに起こる反応の1つである「フリーズ」に似ている。ある意味、無表情はZ世代が人格が形成される時期に社会交流を奪われたために生じた社会性の欠如に似ている。

ガルヴィンによると、無表情はスクリーンや手軽に消費できるコンテンツ、オンラインコミュニケーションで育ったデジタルネイティブ世代が出している微かな合図だという。「アイコンタクトを絶やさないことは、年配の人にとって注意深さを意味するかもしれないが、多くのZ世代にとっては必ずしもそうではない」とガルヴィンは言う。「ベビーブーマー世代やX世代の管理職が、関心がないのだと受け止めるかもしれない姿勢が、実はZ世代のアクティブリスニングかもしれない」。

コンサル会社Cortico-Xのスジェイ・サハ社長も同意見だ。「Z世代は、端末の使用や感染拡大防止のための対人距離の確保、遠隔通信に代表される時代に社会人になった。企業は今、批判するのではなく、共感に焦点を当てたオンボーディングと支援によって経験の欠如を埋めなければならない」とサハは言う。

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拙速な判断はNG、従業員に害を及ぼす

雇用する側の人は耳を傾けてほしい。「Z世代の眼差し」が職場でどのように誤解される可能性があるかを理解するのは簡単だが、根拠なく結論を出すことは従業員に害を及ぼすことになりかねない。「見かけで人を判断するな」という古い格言がここでも当てはまる。「Z世代の眼差し」は、年配の人が根拠のない否定的な結論を導き出す、若い世代に対する数々の誤った判断の1つだ。

ガルヴィンは部下を持つ人に、咄嗟の判断にとらわれず、従業員の行動をどのように解釈しているかを精査するようアドバイスする。「チームメンバーが本当にやる気をなくしているのか? それとも注意深さや関心を寄せる姿勢について、リーダーが時代遅れの考えに頼っているのか?」とガルヴィンは問いかける。「同様に重要なのは、スタイルや世代を超えた自由闊達なコミュニケーションを促進する環境を作っているかどうか、自問することだ」。

真の課題は、従業員の行動と長年の職場規範との乖離

真の課題は、進化する従業員の行動と長年の職場規範との間で大きくなるばかりの乖離にあるとガルヴィンは主張する。今日のさまざまな世代で構成される労働力においては、エンゲージメントについての画一的な定義はないとも指摘する。「ボディーランゲージやコミュニケーションスタイルを誤解すると、不必要な混乱や不満、つながりの逸失を招き得る」。

サハは雇用主がZ世代とどうつながるかを理解することが重要だと強調する。ファストカジュアルレストランで働くZ世代が同世代の顧客にどのように接しているかを観察することで、従業員としても顧客としても、Z世代にとって真の人とのやり取りとはどのようなものかを見極め、学んだことを従業員向けの研修プログラムの作成に役立てることを提案する。

次ページ > Z世代独自の背景は、企業を新しい方向へ導くのにどう役立つのか

翻訳=溝口慈子

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