アジア

2025.07.18 11:30

中国の深刻な少子高齢化、「外交や軍事」にも影響か 将来は人口半減との見方も

中国人民解放軍の兵士(Dennis Degnan/Getty Images)

中国人民解放軍の兵士(Dennis Degnan/Getty Images)

中国の急激な人口動態の変化については多くの議論が交わされてきたが、この変化が同国の外交政策にどのような影響を与えるのかについてはあまり注目されていない。本稿では、複数の重要な論点に着目していく。

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まず、人口構造の変化は顕著だ。筆者は過去に、中国政府による人口問題への対応が限定的である点や、問題が累積的に悪化している状況に関する記事を執筆した。その後も状況は悪化の一途をたどっており、政府の対策はほとんど成果を上げていない。

この現実は、統計にもはっきりと表れている。2024年の中国の合計特殊出生率(訳注:1人の女性が生涯に産む子どもの数)は約1.1で、人口の維持に必要な人口置換水準である2.1のほぼ半分だった。2023年には人口が約200万人減少した。14億人という人口を考えると、この数字は確かに控えめだが、長期的に見れば影響は深刻だ。中国の上海社会科学院は、同国の人口が2100年までに5億2500万人に減少するという悲観的なシナリオを提示している。

この下降傾向にある人口動態は何を意味するのだろうか? 中国の人口が半分以下に減ったとしても、一体何が問題なのだろうか? 中国の経済に関して言えば、こうした人口減少の大部分、あるいはすべては、労働力の向上と機械化によって賄われるだろう。皮肉なことに、こうした人口動態の逆風にもかかわらず、中国経済は短期的には依然として好調に推移するとみられている。

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人口減少はそれ自体では重大な結果をもたらすものではなく、短期的には経済的にも影響はほとんどないかもしれない。他方で、中国の外交政策に影響を与える可能性はあるのだろうか? 考えられる4つの論点を検討してみよう。

1. 軍人の採用

米国防総省は、中国人民解放軍の人員を200万人以上と推定している。これは二重の危機を示唆している。第一に、中国政府は若年層の人口が減少する中、入隊に伴う動機を高める必要がある。第二に、技術力のある軍隊にするには、民間企業を上回る報酬を提示しなければならない。中国軍が求める要件は、単に平均的な高卒者を採用するだけでは満たされない。民間企業の方が給与が高かったとしたら、才能ある若いプログラマーがなぜ軍に入隊する必要があるのだろうか?

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翻訳・編集=安藤清香

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