アジア

2025.07.18 11:30

中国の深刻な少子高齢化、「外交や軍事」にも影響か 将来は人口半減との見方も

中国人民解放軍の兵士(Dennis Degnan/Getty Images)

2. 軍事予算

人件費が設備調達費より急速に上昇しているため、中国は「資金の押し出し」に直面する可能性が高い。つまり、人件費に予算を割くことで、設備投資に回せる資金が減るという状況だ。これが、中国軍がドローン(無人機)やサイバー戦争に多額の投資をしている理由の1つだ。中国が台湾の銀行や電力網、インターネットを機能停止に追い込むことができれば、新たな航空母艦の配備は急を要さなくなるだろう。サイバー能力は従来の軍事資産を完全に置き換えるものではないが、中国軍が最新の技術力と伝統的な軍事力の均衡を取ることを可能にする。

advertisement

3. 近隣諸国

中国の人口動態については、他の東アジア諸国における同様の動向と併せて考慮する必要がある。日本、韓国、台湾の人口減少は中国以上に深刻だ。人口減少を理由に中国が戦略的に不利であると予測することは、この地域の状況を見落としている。

4. 中国軍の教義

人口構造の変化が外交政策に即時の変化をもたらさない最も重要な理由は、中国軍の教義の持続性にあると言えよう。中国軍は自国の主権を守ることを自らの使命と見なしており、これは近隣諸国に対する軍事的優位性を維持することによってのみ達成できると考えている。これは一種の国教となっており、戦略の問題であると同時にイデオロギーの問題でもある。中国軍の成長意欲には限りがないようだ。変化が起こるまでには、数十年にわたる人口減少が必要になるかもしれない。

要するに、中国の人口減少は重大な意味合いを持つ。これは、繁栄と進歩に関する政府のメッセージを国民がどのように受け入れるかという疑問を提起する。しかし、外交政策では直ちに制約が生じるわけではないだろう。とはいえ、中国の外交と軍事の性質は、人口動態の圧力によって微妙に変化する可能性がある。ほんのわずかではあるが、費用の増加と選択肢の減少が、長期的には同国の行動を制限するかもしれない。

advertisement

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事