九州工業大学の学生が、地元の市役所と連携して地方行政DXのためのシステムを構築した。これは地方創生のモデルケースになると、大学はその成果を論文にまとめて発表した。
福岡県飯塚市役所と地元の大学である九州工業大学とはつながりが深く、これまでもさまざまな共同活動を行ってきたが、2022年、同市役所に「業務改善・DX推進課」が設置されると、九州工業大学情報工学部の学生が参加してDX支援を開始。学生たちが市役所のDXのためのシステム開発を行った。
同大学院情報工学研究院の小田部荘司教授らが執筆し、国際学術論文ジャーナル『Journal of Digital Life』に掲載された論文では、学生たちが開発した「河川水位情報自動取得システム」、「避難所情報管理システム」、「コミュニティバス乗降管理」のDX化を例にとり、専門業者やITコンサルタントによる導入にくらべてコストが抑えられることや、「わかりやすい技術」で現場で簡単に利用できる業務改善システムを構築できたと紹介している。
開発されたシステムには、活用されないものもあった。最新技術を導入した派手なシステムを作るという学生の熱意が裏目に出た形だ。最新システムを取り入れた独自開発のプログラムは習得が難しく、プログラミングの知識がなければ設定変更や管理ができない。
これは専門業者に委託したときに起こりがちな問題だという。専門家に任せれば大丈夫だとの期待から、ほとんど議論をしない。やがて完成したシステムを、その技術をよく理解しないまま使い始める。そのため有効に活用されない。
最終的な運用イメージをもとに、シンプルで本当に使えるシステムを構築することが求められる。今回の開発では、市役所の職員が使い慣れているExcelやGoogle スプレッドシートをベースにした、スマートフォンでの情報共有も簡単にできるシステムが正解となった。専門業者に委託する場合と異なり、より多くの議論を重ねながら開発を進めることができたのが何よりのメリットだ。
大学と地方行政とのコラボは、フィールドワークを兼ねた文系の学生がおもに担っていて、実験や演習に追われる理工系学生は学外で活躍する機会が限られる。また、地方創生の成功事例は、個別の地域の事情もあり横展開が難しいとされている。だが今回の取り組みは、理工系学生が技能を発揮でき、どの地域でも導入できるものだ。地方創生の新しいモデルケースとして期待される。



