欧州

2025.07.17 09:00

ウクライナのハヤブサがドローンと戦い負傷 ロシアは準絶滅危惧のペリカン襲撃

ロシア軍のドローンがニシハイイロペリカンとされる大型鳥を攻撃する直前の様子(Xで共有された動画より)

ロシア軍のドローンがニシハイイロペリカンとされる大型鳥を攻撃する直前の様子(Xで共有された動画より)

最近、ウクライナでの鳥とドローン(無人機)の遭遇をめぐる2つの話が伝えられた。じつに対照的なこれらの話はどちらもプロパガンダと言えるが、それを投稿・共有した人たちについて多くのことを教えてもいる。

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ドローンと戦ったハヤブサ「シュライク」

ウクライナの多くのニュースソースが、ロシアのドローンと戦って翼が折れたチョウゲンボウ(小型のハヤブサ)、「シュライク」の話を取り上げている。ウクライナ軍のドローン操縦士が戦いの様子を目撃し、その際に負傷したシュライクを救助した。シュライクは最初、南部のザポリージャ市に運ばれ、その後ドニプロ市に移されて市内のコリブリ動物病院で診療を受けた。

現在は、戦闘地域で傷ついた鳥を救助する活動に2015年から携わるベロニカ・コニコバがシュライクの世話をしている。彼女によると、骨折した翼の手術自体は成功したものの、手術のタイミングが遅すぎた可能性があるという。

「骨折はあまり新しいものでなかったから、おそらく曲がって癒着してしまうでしょう。つまり、羽は元の形に戻りそうにありません」とコニコバは筆者の取材に説明した。

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野生に戻れない場合、シュライクは、ほかの救助された鳥たちと一緒にリハビリセンターで暮らすことになる。コニコバの元には、ほかにもハヤブサ、フクロウ、タカ、ワシなどが次々に運ばれてくるという。とはいえシュライクは、ウクライナの「英雄」としてたたえられている。コニコバはフェイスブックにこう綴っている。

「この勇敢な猛禽は、ロシアのドローンにわたしたちの領土(そして彼の縄張り)を荒らさせてはならないと正しく判断し、その一機を攻撃しました」

猛禽類がドローンを攻撃し、墜落させるという前例は数多くある。2016年にはオランダの警察が、空港などセンシティブな場所に近づきすぎたドローンを落とすため、訓練されたワシを運用する部隊を編成したこともある。もっとも、経費や信頼性、動物福祉をめぐる懸念といったさまざまな理由が重なり、1年後にはこれらのワシは退役することになった。フランス軍も同様に、ワシを使ってドローンに対処できるか実験を行っている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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