経営・戦略

2025.07.16 13:00

NTTデータグループ「NTT DC REIT」がシンガポールで上場、時価総額1500億円に

Photo by Joan Cros/NurPhoto via Getty Images

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日本の通信大手NTTデータグループは7月14日、連結子会社NTT DC REIT Managerが運用を担当し、データセンターを主な投資対象とする不動産投資信託(REIT)「NTT DC REIT」がシンガポール証券取引所に上場したと発表した。上場初日の株価(終値)は、1シンガポールドル(約115円)で、時価総額は約10億ドル(約1490億円)に達した

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NTT DC REITは、この新規株式公開(IPO)で7億7300万ドル(約1152億円)を調達しており、これはシンガポール市場において2017年に17億ドル(約2533億円)を調達した「ネットリンクNBNトラスト」以来の大型案件となった。

NTTデータグループのREITの上場にあたっては、7社のコーナーストーン投資家が参加し、NTTに次ぐ第2位の株主としてシンガポールの政府系ファンドGICが参加したほか、ヘッジファンドのギサロ・キャピタル・マネジメントとピンポイント・アセット・マネジメントが名を連ねた。

NTT DC REITは、今回の調達資金を使ってポートフォリオ内の6つのデータセンター(カリフォルニアの3カ所、バージニアの1カ所、ウィーンの1カ所、シンガポールの1カ所)の全持分を取得する予定という。このポートフォリオの合計容量は90.7メガワットで、評価額は約16億ドル(約2384億円)に上る。

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NTT DC REITの今年3月までの1年間の収益は、前年比9%減の1億7870万ドル(約266億円)だった。同社は減収の理由として、カリフォルニアのデータセンターのひとつで基幹テナントが入れ替わり、最大6カ月の空きが生じたことを挙げた。

このREITが保有するデータセンターは、2024年時点で月額基本賃料の総額1220万ドル(約18億2000万円)のうちの51%を、グローバルなクラウドサービス企業や大手テクノロジー企業から得ており、残りはサーバースペースを借りる企業によるものだった。ポートフォリオ全体の稼働率は94.3%で、平均契約年数は4.8年となっている。

NTT DC REITはNTTデータグループの一員で、プレスリリースによると、同グループは約1500メガワットの施設を運営する世界第3位のグローバルデータセンター事業者という。

NTT DC REITのIPOは、低迷するシンガポールのIPO市場にとって久々の追い風となった。シンガポールにおけるIPOは、今年に入ってからわずか3件のみで、調達総額は約8億4000万ドル(約1252億円)にとどまっており、その90%以上がNTT DC REITによるものとなっている。

これに対し、ライバルである香港市場では、今年上半期に42社が合計136億ドル(約2兆円)を調達し、世界最大の上場市場の地位を取り戻した。香港市場の活況を受けて、タイのココナッツウォーター製造業者のIFBHなどは、シンガポールから香港に上場先を変更していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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