「幸せの共有が怖い」「トレンドを知らないのが怖い」現代の「恐怖心」とは?│恐怖心展

(左から)大森時生、梨、雪下まゆ

(左から)大森時生、梨、雪下まゆ

2025年7月18日、渋谷で「恐怖心」をテーマにした展示「恐怖心展」が開幕した。全国で約10万人を動員する大ヒットとなった「行方不明展」のチーム(テレビ東京・大森時生、ホラー作家・梨、株式会社闇)が再集結してつくった期待の展示だ。

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本展示のテーマである「恐怖心」とは何なのか。展示の案内文には次のように書かれている。

〈恐怖心とは〉

あるもの・ことに対して、その人が生理的に感じる恐れや不安。単なる命の危険や苦痛を伴うものだけでなく、一見して恐怖の対象とは思えないものにも生じることがあります。これらの恐怖は、時に説明のつかない不合理さを伴います。恐怖心展では、「先端」「閉所」「視線」といった、様々なものに対して抱く「恐怖心」をテーマに、展示を行います。そこで展示される様々なものを通して、あなたの恐怖心に向き合うきっかけになれば幸いです

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喜怒哀楽のいずれの感情にも属しないこの「恐怖心」について、Forbes JAPAN30 UNDER 30受賞者でもあるテレビ東京プロデューサーの大森時生、同受賞者で本展示会のオルタナティブポスターのビジュアルを手がけたイラストレーターの雪下まゆ、そして企画などを担当したホラー作家の梨の3人とともに考えた。

━━「恐怖心」をテーマに選んだのはなぜですか?

大森:昨年の「行方不明展」を終えた後、「フォビア(phobia)」というテーマがずっと気になっていたんです。日本語だと「恐怖症」と曖昧に訳されていますが、僕が気になっていたのは、医学用語の恐怖症性障害ではなく「なんとなく嫌」といった生理的で曖昧な感覚のほうの恐怖症です。そんな恐怖症を扱う展示ができたら面白いのではないか、と以前から梨さんと話していました。

梨:たとえば「高所恐怖症」という言葉も、一般的に多く使われているのは「富士急でジェットコースターには乗れるけど、高いところはなんとなく苦手」いう軽度な意味合い。つまりその「なんか嫌だな」といった感覚を、私たちは“恐怖心”と呼んでいます。

大森:「恐怖」と「恐怖心」もまた違うものだと思っています。「恐怖」はもう感じ切っている状態。でも「恐怖心」は、その一歩手前。まだ起きていないことを想像した時に湧いてくる不安な気持ちというか。

僕も梨さんも、いわゆる“正統派ホラー”を作っているわけではなくて、どちらかというと「不安」や「違和感」といったものにフォーカスして作品を作っています。だからこそ「恐怖心」は自分たちのアイデンティティに近いテーマであり、今回の展示の中核に据えたわけです。

「恐怖心展」予告映像

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文=宮田浩平 取材・編集=田中友梨 撮影=木村辰郎

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