あるCEOの告白:「私は共感の責任者」
CEOは話しすぎる。これは、パフォーマンス管理のスタートアップ、ConfirmのCEO兼共同創業者を務めるデイビット・マレーの言葉である。彼は、自分もかつてその過ちを犯していたと認めており、今では話すことを減らし、聴くことを増やすことに注力しているという。彼にとってCEOとは「最高経営責任者(Chief Executive Officer)」ではなく、「最高共感責任者(Chief Empathy Officer)」であるべきだと語る。
マレーは、クライアントの悩みを言語化される前から感じ取ることを重視している。社員には解決策を押し付けるのではなく、まずは耳を傾けることで従業員みずからが問題を解決できるよう導いている。また、チームの状態にも目を配り、問題が深刻化する前にその兆しを察知するよう心がけている。
かつての彼は、CEOの仕事とは答えを出すこと、指示を出すこと、決定すること、推進することだと思っていたという。だが、今ではそれらは会社が最低限機能するために必要な条件に過ぎないと語る。「本当に重要で、しかも難しいのは聴く力を磨くことだ」と彼は言う。「CEOになってから最も優先すべきだと感じたスキルこそ、共感力だ。だから私は『Chief Empathy Officer』であり続けようとしているのだ」
「共感は優しさではない」とマレーは言う。「戦略そのものだ。社員の燃え尽きを未然に察知し、クライアントの怒りの裏にある痛みや、沈黙する社員の内面を聞き取ることができる。そして、見込み顧客との信頼を築く手段でもある。人は肩書きには従わない。だが、自分を見てくれるリーダーにはついていく。これは顧客にも同じことが言える」
彼は毎日、自分自身に「今、周囲の誰が『聞いてほしい』と思っているか?」と問いかける習慣を持っている。そしてこの問いが、物事を大きく変えると断言する。「これにより、タスクを管理するのではなく、人を見るという視点へ切り替えることができる。話すよりも聴くことを優先し、クライアントや顧客の、まだ表面化していない問題に気づく助けとなる。そして、静かに職場へ貢献している社員、声高にアピールはしないが、同僚たちに影響を与えている存在にも目を向けるようになる」
マレーが他のCEOに最も伝えたいアドバイスは、「話す量を減らし、聴くことを増やすこと」だという。「たとえば、チーム会議に参加しても主導せずにただ座ってみる。『今、何が大変か?』と尋ねてみる。そして、すぐに解決策を提示するのを我慢することだ。社員には成果だけでなく、職場を良くするために貢献している人々を評価する仕組みを築くべきである。共感を実践するほど、それは単なる戦略ではなく、会社文化とリーダーのDNAの一部へと変わっていく」
共感の持つ波及効果を、リーダーたちは実感している。共感的なリーダーは、共感的な社員を引き寄せ、職場のウェルビーイング、エンゲージメント、そして企業の収益性を高める。一方で、今なお厳格なルールだけで運営している組織は、こうした恩恵を取り逃すことになるであろう。


