アジア

2025.07.15 09:00

トランプの「反武士道」的行動に日本震撼 経済と安保「覚醒中」

DannyOliva/Shutterstock.com

トランプがアジアの主要な同盟国である日本と韓国に25%の関税を課すという予想外の決定をしたことは、日本人の武士道的な精神や日本の外交姿勢に衝撃を与えたに違いない。日本はこれまで一貫して米国と緊密な関係を維持してきた(アル・アレツハウザーの1990年の著書『The House of Nomura(邦訳、ザ・ハウス・オブ・ノムラ)』を読むと、米国が現代日本の金融・企業システムの構築にどのように貢献したのかもよくわかる)。その少し前に書かれたエズラ・ヴォーゲルの『Japan as Number One(邦訳、ジャパン・アズ・ナンバーワン)』は、トランプにも強い印象を残したと思われる(1980〜90年代、トランプはCNNに出演して米国の対日外交・貿易政策を痛烈に批判していた)。

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トランプと武士道は水と油のようなものであり、日本人は彼の行動に失望することになる。日本はこれまで、米国の歴代大統領と良好な関係を築いてきた経緯もある。もっとも日本との親密さということであれば、フランスの故ジャック・シラク元大統領のほうがさらに上だったかもしれない。彼はなんと通算40回以上も日本を訪れている(その理由はいくつかあるのだが、ここでは書かない)。

日米関係に亀裂が入る可能性は、折しも日本経済が数十年のまどろみから目を覚ましつつある時期に、日本に戦略上のジレンマをもたらしている。英国と同様、日本も地政学的な足場が揺らいでいる。フランスのエマニュエル・マクロン大統領が国賓として英国を訪問したことは、英国の安全保障・防衛政策の方向性を示すものでもあった。日本も防衛支出を増やしているが、中国の威圧的な行動を背景に(航空自衛隊は2024年度に、領空侵犯のおそれがある中国機やロシア機など外国機に対して緊急発進=スクランブル=を704回行っている)、より抜本的な解決策を検討する可能性もある。たとえば、日本は必要とあらば短期間で核兵器開発プログラムを構築する能力を持つ唯一の国だ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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