筆者は、4年前に「カスタマイズできる『マーラータン』が人気 中国外食チェーンの東京出店戦略」(2021.6.26)というコラムで次のように指摘した。
<今日の東京には、マーラータンに限らず、中国のローカル料理の外食チェーンが続々とフランチャイズ出店している。(中略)現状をみる限り、中国の外食チェーンはまだ日本の人たちに浸透しているとは言えないだろう。これからどう変わっていくのか、その動向を興味深く注視していきたい>
それが、いまやこうしてマーラータンがちょっとしたブームとなり、なんともうれしい限りである。
ただし、このブームの真相には、aokinappleさんも指摘するように、「韓国の有名人が食べているのを見て、日本人のファン、特に若い世代が食べ始めた」ことにあるというのは、どうやら本当のようだ。なので、いま行列している若い女性のなかには、マーラータンが韓国の料理だと思い込んでおり、中国発祥のものであることを知らない人もいるかもしれない。
とはいえ都内には、韓国のマーラータンチェーンのフランチャイズ店も数軒オープンしていて、筆者も訪ねたのだが、カスタマイズの飲食システムは中国と同じでも、内装にハングル文字があふれていた。客層は日本、中国、韓国の女性たちがいたが、若い男性もけっこういて、繁盛しているようだった。店員には日本人の女性もいた。
韓国には中国東北地方に広く住む朝鮮系の中国籍住民が移民として多く働いている関係で、中国の最新グルメがいち早く持ち込まれる。そのひとつがマーラータンだった。それはトウガラシを多用した料理を好む韓国の人たちにとって好みの味だった。そのトレンドが日本にも届いたというわけである。
常日頃、ガチ中華が日本で受容されることの難しさを感じているのだが、たまには今回のような想像していなかったことも起こる。そこが海外由来の食文化の面白さだといってもいいかもしれない。


