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2025.07.14 12:00

アメリカンドリームを求めて、米国で最も裕福な「移民」ランキング 2025年版

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今年、米国に住む外国生まれの億万長者の数は過去最多の125人となった。彼、彼女たちは43カ国から米国を訪れ、財を成した人々である。

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「抑圧的で全体主義的な国に暮らしていて、金も希望もなかった子ども時代には、将来なんて考えられなかった」と語るのは、ハンガリーから米国へ移住した億万長者、スティーブン・ウドヴァー=ヘイジ(79歳)である。彼は14歳で時給30セントの倉庫作業を始め、その後、航空機リース会社を設立した。

「そうした境遇から米国へ来ると、生まれながらにこの国に住んでいる人々とはまったく違った価値観を持つようになる。便利さや自由、物質的な豊かさに囲まれて育った人々と違って、価値を創造することや、助けてくれる人々の存在をありがたく感じるようになる。だからこそ、明確な目標を持ち、過去から抜け出そうという強い意志を持てる。ここで生まれ育った人たちとは、根本的なモチベーションの次元が違うのだ」とウドヴァー=ヘイジは語る。

ウドヴァー=ヘイジは、外国生まれの米国市民であり、2025年版『移民の億万長者』リストに掲載された125人のひとりである。この人数は2022年の92人から3割以上増加し、出身国は43カ国におよぶ。米国にいる約900人の億万長者のうち、外国生まれの市民は14%を占め、総資産は過去最多の1兆3000億ドル(約190兆円)となり、米国全土の億万長者が保有する資産額である7兆2000億ドル(約1052兆円)のうち18%を構成している。

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米国および世界の億万長者トップ10のうち3人が移民である。中でも最も裕福なのはイーロン・マスク(54歳)だ。南アフリカ出身で、学生時代にカナダ経由で渡米した彼の資産は約3931億ドル(約57兆4700億円)と推定されている。次に続くのは、ロシア生まれのグーグル共同創業者、セルゲイ・ブリン(51歳)で、資産は1397億ドル(約20兆4200億円)だ。彼の一家は、ロシアでの反ユダヤ主義から逃れるために、ブリンが6歳のときに米国へ移住してきた。

米国で3番目に裕福な移民は、エヌビディアの共同創業者兼CEOであるジェンスン・フアン(62歳)である。彼は台湾で生まれ、幼少期に家族でタイに移住した。その後、9歳のときにタイの社会不安から逃れるため、兄とともに米国に送られた。彼の資産は約1379億ドル(約20兆1600億円)にのぼる。台湾出身の億万長者は、2022年の4人から11人へと増加し、イスラエルと並んで出身者数で2位に躍り出た。最大の伸びを記録した国でもある。新たに登場した台湾出身者には、フアンの従姉妹であり、ライバル企業AMDのCEOであるリサ・スー(55歳)も含まれている。彼女は2022年の10人から17人へと増加した女性移民億万長者のひとりだ。

もうひとり新たに加わった女性は、イラン生まれのマキ・ザンガネー(54歳)である。彼女は2002年に手術ロボットを手がける会社の欧州事業を統括したのち、米国で働くために移住した。現在はバイオテック企業、サミット・セラピューティクスの共同CEOを務めている。有望な肺がん治療薬の候補を持つことで同社の株価は前年比200%近く上昇し、それによって彼女は億万長者の仲間入りを果たした。

「移民にとって重要なのは、最善の機会を求め、新たな環境に適応しながら、自らの中核的価値観を保ち続けることだ」と彼女は語る。「ビジネスの世界でも同じだ。常に鋭く、進化し、逆境を生き抜く力が必要だ。この考え方こそが、私の成功を形作ってきた」

インドは今回、同リストにおいて新たに5人の移民億万長者を排出し、合計で12人となった。これにより、イスラエルを抜き、出身国別で1位の座を獲得している。その中には、アルファベットのスンダー・ピチャイ(53歳)、マイクロソフトのサティア・ナデラ(57歳)、サイバーセキュリティ企業、パロ・アルト・ネットワークスのCEOであるニケシュ・アローラ(57歳)などが含まれる。

次ページ > 移民億万長者の出身国(上位10か国)

翻訳=江津拓哉

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