移民億万長者の出身国(上位10か国)
・インド:12人(2022年は7人、+5)
・イスラエル:11人(+1)
・台湾:11人(+7)
・カナダ:9人(+1)
・中国:8人(+1)
・ドイツ:6人(変化なし)
・イラン:6人(+4)
・フランス:5人(変化なし)
・ハンガリー:4人(変化なし)
・ウクライナ:4人(+1)
米国における億万長者のうち、4人に1人以上が相続によって資産を得ている一方で、移民の億万長者の93%は自力で財を築いている。その多くはテクノロジー分野(53人)と金融分野(28人)で成功を収めている。
イスラエル生まれのベンチャーキャピタリストであり、2002年に米国に移住した後、オーディオブック企業のAudibleなどへの投資を成功させたオーレン・ゼーブ(60歳)もそのひとりである。「私のような特殊なバックグランドを持つ者は、同じような学校に通い、お互いに顔見知りである他のVCたちとは違った考え方やアプローチができる。それが私の成功につながったと思っている」とゼーブは語る。「主流から外れた発想をするのがむしろ容易であり、それがVCの世界では大きな強みになり得る」
多くの移民たちは、大学進学を機に米国へ来て、そのまま定住している。イーロン・マスクやサイバーセキュリティ業界の大物、ジェイ・チョードリー(65歳)もその一例である。チョードリーは1980年、インドからシンシナティ大学の大学院へ渡るために初めて飛行機に乗った。
NFLチーム、ジャクソンビル・ジャガーズのオーナーであるシャヒド・カーン(74歳)は16歳のときにイリノイ大学への片道切符に一家のほぼ全財産を費やして米国へ移住した。渡米初日に皿洗いの仕事に就き、時給1ドル20セントを稼いだという。それは彼の母国の「99%の人より多い収入」だった。「以来、感謝と謙虚さ、そして自立の精神を持ち続けている」と語るカーンは、自動車部品メーカー、フレックス・エヌ・ゲートの創業者であり、母校に約3000万ドル(約43億8600万円)を寄付している。
ヌーバー・アフェヤン(62歳)もまた、学業を目的に米国へ渡った。彼は1975年、レバノン内戦を逃れてモントリオールに移住した。その後、マサチューセッツ工科大学で生化学工学の博士号を取得し、マサチューセッツ州に定住した。彼は、コロナワクチンを開発したモデルナの共同創業者であり会長でもある。
アフェヤンは、「移民のマインドセットとは、生まれながらの権利や保証を持たず、自らの力で道を切り開こうとする精神だ」と語る。「逆境を乗り越える力は、移民の旅路において培われる強みであり、それを活かせば大きな利点になる。期待しすぎたり、当然だと思い始めると、その強みは失われてしまう」
米国が偉大である理由は、その移民のマインドセットにあると語る彼は、最後にこう語る。「多くの国や文化を見てきたが、米国ほど『移民の国』として成功を収めた国はない。それを守り続ける努力を惜しんではならないと私は思う」


