SMALL GIANTS

2025.08.09 13:15

「AIにできない」これが3領域。事業創出家が推す『ことを起こす力』とは?

2|クラフトマンシップ:身体性と空間から生まれる価値

生成AIは、言葉やコード、画像や音楽など「デジタルで完結する創造」には非常に優れている。しかし、現場の空気、微細な身体感覚、目の前の“人と空間”に反応しながら創造していく営みには踏み込めない。

advertisement

クラフトマンシップとは、単に職人の技術を指す言葉ではない。五感を通じて世界とつながり、身体を媒介に価値を生み出す力の総称である。農業や介護、福祉といった取り組みも、含めてこう私は呼ぶ。

たとえば、大工が木材に触れながらそのクセを見抜き、微調整しながら刻みを入れていく感覚。料理人が素材の香りと湿度に合わせて火加減を調整する判断。保育士が子どもの表情の変化から不調を察する直感。これらはすべて、現場の空間性と身体性に支えられた知である。

こうした力は、現在のAIには決して置き換えられない。なぜなら、それらは“構造化された情報”ではなく、“現場のリアル”の中にしか存在しないからだ。

advertisement

にもかかわらず、日本の教育やキャリア形成では、こうした身体性を軽視してきた。特に普通科偏重の高校教育では、「頭を使う仕事=価値が高い」「手を使う仕事=価値が低い」という前提が根強く残っている。

しかし今、社会の潮流は変わりつつある。D2Cブランドや地域クラフト、建築、アートなど、身体性のある創造への評価が再び高まっている。効率や再現性ではない、“唯一無二の価値”が人の心を動かしている。

誰もが普通科に進学をし、そして四大を目指す。大学を卒業し、事務職や営業職を目指した点そんな学校教育のあり方も改めて見直されるべきだ。商業高校や、工業高校、農業高校や高等専門学校など、いわばクラフトマンシップに注目をし、そうした人材を育てる学校が今一度、再注目されるべきだろう。

クラフトマンシップは、労働集約的でも、時に非効率でもある。だが、それこそが人間らしさの証であり、これからの経済における「感性資本」の源泉でもあるのだ。

次ページ > AI時代には知識よりも“関わり方”が選ばれる理由になる

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事