タトゥーは今、かつてないほど一般的になっている。米ピュー・リサーチ・センターが最近実施した調査によると、米国の成人の約32%がタトゥーを入れており、うち22%は複数のタトゥーを入れている。
身体を媒体にしたボディアートはかつて反抗の象徴とみられていた。しかし人々がタトゥーを入れるのは深く個人的な、そして多くの場合、感情的な理由からだ。調査では参加者にタトゥーを入れた理由も尋ねている。それによると多くの人が、タトゥーを入れることで誰かに敬意を表したり、自分の信念を表現したり、自分の外見への自信を強めたりしていると答えた。
タトゥーが目に見えて一般的になり、受け入れられるようになったとはいえ、さまざまな意味で他人から素早く判断される材料であることに変わりはない。人々は1つのイメージやスタイルに基づいて、あるいはタトゥーが表すその人の性格についてその場で決めつけることが多い。
思い込みを促すのはタトゥーの存在だけでなく、タトゥーの種類でもある。タトゥーのデザインや大きさから、配置やスタイルに至るまで、人々は往々にしてその人が入れているタトゥーに基づいてその人に対する見方を素早くまとめる。
多くの人にとって、タトゥーはその人を映し出す鏡だと考えるのは自然なことだ。
通常、タトゥーは一生消えないことから、タトゥーの柄や色、配置がその人の性格の深遠な部分を明らかにしていると直感的に考えるかもしれない。
そのように思えるかもしれないが、新しい研究ではこうした直感は考えているほど正確ではないかもしれないことが明らかになった。
研究ではタトゥーを入れている18〜70歳の274人を対象に調査を行った。参加者は確立された性格テストを受け、研究者は参加者のタトゥー1つ以上を撮影し、写真は計375枚となった。
写真は訓練を受けた心理学の専門家が評価した。写真だけを見せられたケースもあれば、タトゥーの意味についての短い説明を受けるケースもあった。
参加者が受けた性格テストと同じ尺度を用いて、専門家はそれぞれの参加者の気さくさや誠実さ、社交性、神経過敏かどうか、新しい経験に対するオープンさなどを評価した。
これらの研究結果に基づき、タトゥーが人の性格について誤解を招くかもしれない2つのパターンを紹介しよう。
1. 正確ではない視覚的手がかりを信じる
ほとんどの人はタトゥーを目にするとその人の価値観や気質、性格の特徴など、その人を表す何かを反映しているだろうと考える。
多くの人は目にしたものの印象を間に受ける。明るい色は温かみや親しみやすさを、暗い色のとがったものは反骨精神や激しさを連想させるといった具合だ。
この研究では、視覚的特徴だけに基づいて形成される印象に驚くほど一貫性があることがわかった。
例えば、陽気でカラフルなタトゥーはかなり気さくな人柄という推測につながることが多かった。一方、大きいデザインや伝統的なデザインは社交的という認識と結びついていた。
死を連想させるイメージや低品質なタトゥーは、神経過敏や気難しさといった特徴と関連していた。
しかし、ここで注意点がある。調査によると、これらの判断はほとんど間違っていた。
タトゥーを入れた人の自己申告の性格が、タトゥーを目にした人が連想した特徴と一致することはほとんどなかった。
この発見は、コンセンサスと正しさは同じではないという注意喚起だ。ある認識が明白であると感じられたり、他の人々によって共有されたからといって、それが真実だとは限らない。あなたの思考回路は、特に視覚的な手がかりを解釈するときに近道をするようにできているが、それはいとも簡単に方向性を見失うことになり得ることを覚えておくことが重要だ。
人についての理解を深めたいのなら、外見による思い込みを克服する必要がある。
結局のところ、タトゥーは何かを物語っているように見えるかもしれないが、あなたが目にするものは大きな絵の一部に過ぎない。人を判断する前に、その人について十分知っているようにしよう。



