事業継承

2025.07.23 13:30

林業を「儲かる」仕事にDXで変革、次世代に引き継げる産業へ

芦田拓弘|あしだ取締役、Eco Forest Friendly 代表取締役

「儲かる林業」で未来を開く

芦田が次に立ち上げたのが、「EFF木材流通システム」。オンライン上で木材の発注から在庫管理、価格の相場確認、決済までを完結できるシステムだ。

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「日本の林業の最大の課題は、非効率な分業構造にあります。電話やFAXによるアナログなやり取りが主流で、需要と供給のマッチングがうまくいっていない。ウッドショックで国産材の需要が高まっているにもかかわらず、林業はそのチャンスをつかみ切れていません。せっかく良質な国産材を生産しても売り先がなく、粉々にしてチップ材として売るしかないような現状をどうしても変えたい」

EFF木材流通システムでは、長年の業界課題であった、流通が一方通行のために起こるニーズのミスマッチや価格低迷を解消。競り情報の全国への発信により、従来、地域に閉鎖的だった木材流通を全国規模で展開することも可能に。
EFF木材流通システムでは、長年の業界課題であった、流通が一方通行のために起こるニーズのミスマッチや価格低迷を解消。競り情報の全国への発信により、従来、地域に閉鎖的だった木材流通を全国規模で展開することも可能に。

このプラットフォーム上では、AIが木材の需要と供給を分析してマッチングを行い、適正価格を提示。取引の効率性を向上すると同時に、現場の負担を増やしていた見積もり書の作成や納品完了の確認なども簡単になる。また、売り手と買い手がチャットで直接やり取りできるシンプルなインターフェースも特徴だ。

これを導入すれば、製材所は市場に足を運ばずとも必要な木材を効率的に調達可能に。市場は競りの情報を全国に発信し、より多くの買い手を集めることができる。メーカーは国産材を安定的に確保し、リスクヘッジできる。林業従事者が適正な収入を得て、森林保全に注力できるようになれば、 ポジティブな「儲かる」循環が生まれるはずだ。

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「林業が活性化すれば、その効果は日本のものづくりや輸出産業にまで広く波及するし、森林保全も加速する。日本の未来にとっても林業は非常に重要な役割を担っている。だからこそ、『システムで林業を変える』意義があると思うんです」

すでに京都府内のほとんどにあたる林業関連企業25社には導入が決定し、7月の正式リリースに向けて4月から実証実験が開始された。ほかの都道府県からも導入の打診も多く、その期待値は高い。

「木は植林から伐採まで60年以上かかります。60年間も費用がかかる事業を、次の世代が引き継ぐインセンティブが今はほとんどない。だから、負のループを断ち切るために業界や他業種をつなげて、みんなで林業を『儲かる産業』にしていくこと。それがアトツギである僕の役割だと思っています」


あしだ◎1963年、京都府南丹市で芦田木材として創業。93年にあしだを設立。京都府を拠点に原木丸太の生産、森林整備・管理を行うほか、危険木や被害木の撤去、山林不動産も手がける。現在の代表取締役は2代目の芦田竜一。従業員数は15人。

芦田拓弘◎あしだ取締役、Eco Forest Friendly代表取締役。1992年、京都府生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科卒業後、プラントエンジニアとして国内・海外プロジェクトを担当。2022年にあしだ入社。「EcoPay」アプリと「EFF木材流通システム」を開発。

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文=堤 美佳子 写真=吉澤健太

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