Androidには容易に解決できない問題がある。世界で最も普及しているオペレーティングシステムの核心で対立が進行し、悪化している。今後どうなるかはサムスン次第だが、その結果はすべてを一変させる可能性がある。
私は以前からこの点を警告してきた。グーグルは他社にAndroidを提供する一方で、自社のPixel端末を通じて同じOEMと競合している。Pixelの市場シェアは小さいが、新機能やアップグレードの提供では常に先頭に立つ。
Android 15ではセキュリティとプライバシーが中心テーマとなり、Android 16でも状況は同じだ。このためOSアップグレードは通常の機能更新よりもユーザーにとって重要になった。
サムスンは最大のOEMでありながら、Android 15の展開では遅れを取った。Pixelが6月にAndroid 16への移行を開始した頃、多くのGalaxy端末はまだAndroid 15の正式リリース段階だった。サムスンのAndroid 16展開は日本でも8月1日に発売される折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold7」と、折りたたみスマホ「Galaxy Z Flip7」から開始となった。またこれらは最新のOne UI 8を採用している。
こうした警告は、テクノロジー専門サイトの Android Authorityも繰り返している。同サイトは「グーグルのPixelソフトウェアがサムスンのOne UIより優れている5つの理由」を挙げていて、その中でも特に重要なのは「サムスンがOne UIにどれだけ手を加えても、グーグルが常に持つ利点はアップデートの速さだ」という点だ。
要するに、Androidの開発元であるグーグルにとって、自社のPixelシリーズを最適化することは容易だということだ。特に「混乱を招いたOne UI 7」を振り返るとこの議論は切迫しているが、問題はOSアップグレードだけにとどまらない。毎月のシームレスで効率的なセキュリティアップデートや、新しいセキュリティ機能への迅速なアクセスも挙げられる。
Android Authorityは「サムスンは不具合のあったOne UI 7を修正したものの、それは誰もがOne UI 8に注目し始める直前だった」と指摘する。実際、アップデートとアップグレードの速度と効率に関して Pixelは無敵であり、AIがAndroidの中核に組み込まれるにつれてこの優位性は一層重要となり、サムスンの差別化要素を奪っていくだろう。
AndroidとiPhoneの差は縮まりつつあり、グーグルのAI駆動アプリ群が複数のOSで利用可能になっていることで、モバイル技術競争の「半減期」は大幅に短くなった。
次の展開を決めるのはサムスンかもしれないが、その引き金は韓国ではなく中国から引かれる可能性がある。ファーウェイは第3のモバイルOS(HarmonyOS NEXT)を推進し、10年ぶりに iOSとAndroidに対する本格的な競争を始めている。他の中国系OEMにも米国技術から離れるよう圧力がかかっており、これは北京や深センの非公式な場で国家利益として後押しされていると見て間違いない。
Pixelの無敵のアップグレードはサムスンにとって悪いニュースであるだけでなく、Android全体にとってさらに大きな脅威となる可能性がある。



