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2025.07.04 09:00

各国の中央銀行の金保有量が5月に20トン増加、国別最多購入量はカザフスタン

Shutterstock.com

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英ロンドンに本部を置く金(ゴールド)の業界団体ワールドゴールドカウンシル(WGC)は2日、各国の中央銀行の金保有量が5月に合計で20トン増加したと発表した。

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WGCは「中東情勢の緊張によって、地政学的な危機から準備資産を守ろうとする各国の中央銀行に対する金の戦略的魅力が高まった可能性がある」と説明した。近年、欧州や中東での紛争や、米国による新たな関税が世界経済の成長や物価に及ぼす影響に対する懸念を背景に、金の需要が急増している。また、保有資産をドルから他の通貨や金地金へと分散させようとする動きが高まっていることも需要増の一因だ。

金価格は4月下旬に1トロイオンス3500ドル(約50万7600円)をわずかに上回る史上最高値まで急騰したが、利益確定の売りが進み市場の信頼が回復したため、下落に転じた。それでも、前年の水準と比較すると40%以上上昇している。

5月に金を最も多く購入した国

WGCによると、5月に最も多くの金地金を購入したのは、7トンのカザフスタン国立銀行だった。同国の年初からの総購入量は15トンで、現在の金保有量は299トンとなっている。

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次いで多かったのはトルコとポーランドの中央銀行で、それぞれ6トン購入した。ポーランドは年初以降67トン購入しており、累積で最大となっている。中国とチェコの5月の金購入量はそれぞれ2トンだった。キルギス、カンボジア、フィリピン、ガーナの中央銀行はそれぞれ1トンの金を購入した。

金を売却した国

売りの側で最多となったのはシンガポールの中央銀行で、金庫に保管していた5トンの金地金すべてを売却した。次いで多かったのはウズベキスタンとドイツの中央銀行で、それぞれ1トンを売却した。

年初からの累計で最多の金を売却した国は27トンのウズベキスタンだ。シンガポールの累計売却量は10トンで2位となっている。

金備蓄の増強は今後も続く見通し

WGCによれば、各国の中央銀行は過去3年間に年間約1000トンの金を購入している。過去10年間の平均は400〜500トンだった。

同団体が最近行った調査では、各国の中央銀行による金備蓄の増強は今後も続く可能性が高いことが示された。それによると、回答者72人のうち95%が、各国の中央銀行の金準備が今後1年間で増加すると予想していると答えた。回答者の43%は、同期間に自国の中央銀行の金保有量も増加するとみていた。これらの数字はそれぞれ前年の81%と29%から増加しており、過去最高を記録した。また、向こう5年間で総準備資産に占める金の割合が「やや」または「大幅に」増加すると考えている回答者の割合は合計で76%に上り、これも昨年の69%から増えていることが明らかになった。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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