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2025.07.09 06:15

年収1000万円超でも84%が「夏の出費厳しい」 物価高時代の選択的消費

Getty Images

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今年の夏も猛暑が予想される中、家計にとってもう一つの「暑さ」が重くのしかかっている。パーソルキャリア株式会社のJob総研が実施した「2025年夏の出費実態調査」によると、86.0%の人が今夏の出費が前年より「増える」と回答し、物価高の影響で多くの人が夏の支出増加を実感していることが明らかになった。

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光熱費・食費の上昇が家計を直撃

夏の出費が増える項目として最も多く挙げられたのは「光熱費」で59.6%。次いで「食費」(57.5%)、「物価高による生活費全般」(39.5%)が続いた。冷房需要が高まる夏場に、電気代の上昇が家計を圧迫している実態が浮かび上がった。

今夏の出費への印象を尋ねたところ、79.2%が「厳しく感じる」と回答。年収別では高年収層ほど「厳しく感じる」割合が高い傾向にあり、年収1001万円以上では84.1%に達した。これは高年収層でも物価高の影響を無視できないことを示している。

レジャー予算は大幅削減、平均5万円に

夏のレジャー・外出計画については、65.4%が「予定を変更・予算を抑える」と回答した。具体的な予算は平均5.0万円、中央値3.0万円、最頻値2.0万円となり、多くの人が現実的な金額設定を心がけている様子がうかがえる。

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物価高対策は「賢い選択」が主流

物価高による消費行動の変化では、53.1%が「特売や安いものを選ぶように」と回答し、メリハリのある支出を心がけているようだ。物価高への具体的な対策として「冷房の時間・温度の調整」(39.3%)、「ポイント・クーポンの活用」(38.4%)、「セールを狙う」(29.6%)が上位に入った。

猛暑による夏の消費行動の変化では、「冷房機器の使用時間が増加」(58.1%)が最も多く、「自宅で過ごす時間が増加」(40.3%)、「涼しい時間に外出するように」(34.0%)が続いた。また、暑さ対策への出費については、「外出先での飲料・冷菓の購入」(33.8%)が最も多く、「電気代を気にせず快適さを重視」(32.9%)、「冷感グッズの購入」(32.0%)と続いた。

回答者からは「光熱費は抑える努力よりも気にせず快適さを優先するほうがストレスにならず仕事もはかどる」「暑さに耐えられないのでエアコンも我慢しないようにしている。代わりに食費を抑える」といった声が寄せられ、快適さを重視しつつ他の支出で調整する姿勢がうかがえる。

「我慢」から「選択的支出」へのシフト

今回の調査結果で注目したいのは、多くの人が一律の節約ではなく「選択的支出」に移行していることだ。光熱費や食費の上昇は受け入れざるを得ない一方で、レジャー予算は平均5万円に抑制し、冷房対策では「時間・温度の調整」と「快適さ重視」に分かれるなど、「かける」「抑える」のメリハリが鮮明になっている。

年収1000万円超でも8割以上が「厳しい」と感じる物価高の夏。それでも全てを我慢するのではなく、何にお金をかけるかの「選択」で乗り切ろうとする現実が見えてきた。

【調査概要】
調査対象:全国の20-50代の社会人男女544名
調査期間:2025年6月4日~6月11日
調査方法:インターネット調査

プレスリリース

文=池田美樹

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