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2025.07.03 13:00

イスラエルの防空システムはイランの弾道ミサイルをどのくらい防げたのか? 戦績と戦訓

イスラエルの最大都市テルアビブで2025年6月21日、イランから発射された弾道ミサイルをイスラエル空軍の防空システムが迎撃する様子(Eli Basri/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

イスラエルは6月13日にイランに奇襲を仕掛けるや、空軍機でイランのMRBM戦力を重点的にたたき始めた。方法は2つあり、ひとつは隠密に移動するミサイル発射トラックを追跡・破壊するというもの、もうひとつは、それらの発射車両に供給されるミサイル備蓄を爆撃するというものだった。後者はミサイルを直接破壊する場合もあれば、要塞化された地下貯蔵庫からミサイルを引き出すためのトンネルの入り口を崩落させる場合もあった。いずれにせよ、ミサイルは発射される前に地上で破壊するほうがコストがはるかに安く済む。

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イスラエル国防軍は停戦後、地上でイランのミサイルを「数百発」、発射機の「50%」を破壊したと主張している(後者は、同軍による以前の発表の数字から導くと180基ほどに相当する可能性がある)。

イスラエルによる発射機や指揮・統制拠点を狙った攻撃によって、イランは2024年に行ったような大規模で協働的なミサイル攻撃の実施が不可能になったとみられる。それでも、革命防衛隊は12日間にわたる交戦で、イスラエルに向けて弾道ミサイルを530〜550発発射し、うち少なくとも31発が軍事目標や人口密集地の近くに着弾した。ほかに数十発が無人地帯に着弾したもようだ。イラン側がこの交戦中に巡航ミサイルを発射したのかどうか、発射していた場合、それは何発だったのかははっきりしない。

イランが使用したミサイルには、発射時や飛行中に不具合を起こしたものも一定数あったと推測されるが、2024年の攻撃に関して一部の米当局者が主張していたような非常に高い失敗率よりは低い比率だった可能性が高い。今回のミサイル攻撃については同様の指摘がなく、これはイランが過去の攻撃時にあった失敗に学び、対処したことを示唆するのかもしれない。

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ブログ「Arms Control Wonk」にサム・レアが書いているところによれば、映像からアロー3は少なくとも34発、アロー2は9発前後、米国のTHAADは39発の使用が確認できるようだ。アロー3は主に開戦初夜に、THAADは15〜19日に集中的に目撃されている

さらに、デイビッズ・スリング、もっと驚くべきことにはアイアンドームも、イランのMRBMを撃墜したと評価されている。あらためて言えば、両システムはMRBMのような、比較的高い高度を高速で飛行するミサイルを迎撃するようには設計されていない。だが、ある映像には、目標に向けて急降下してくる弾道ミサイルに、アイアンドームの比較的低速な迎撃ミサイル「タミル」が巧みに進行方向を変えて向かっていき、破壊する様子が映っている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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