有名な「アイアンドーム」は、この多層防空システムの最下層にあたる。アイアンドームは主として(限定はされない)、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが発射する安価な短距離ロケット弾やドローンの迎撃に最適化されている。技術的には、この最下層はレーザー兵器の「アイアンビーム」やその他のシステムによって補強されている。
中・長距離の防空層を担う「デイビッズ・スリング(ダビデの投石器)」は、米国から供与されていた地対空ミサイルシステム「パトリオット」に代わるもので、「スタナー」というミサイルを用いて航空機や巡航ミサイル、短距離弾道ミサイルから防御する。イスラエルの中・長距離防空システムにはほかに「バラク」があり、これは軍艦や地上車両に搭載されて運用されている。イスラエル純国産のシステムであるバラクは、デイビッズ・スリングに比べると射程はやや短いものの低コストだ(6月にはイランのドローンに対して使用された)。
イスラエルの防空の上層は、MRBMに対応する「アロー2」と、中距離弾道ミサイル(IRBM)や大陸間弾道ミサイル(ICBM)に対応するより新しい「アロー3」によって構成されている。両システムは巨大レーダー「グリーンパイン」シリーズから、早期警戒や、脅威接近時の火器管制センサーへの指示などの支援を受けている。
イスラエルの防空は現在、米陸軍のパトリオットシステムとTHAADS(終末高高度防衛ミサイル)システム各1基で補完されている。THAADSは、とくにMRBMの迎撃用に設計されたシステムである。
イランのミサイルの突破率
イスラエルの防空システムがMRBMや巡航ミサイル、ドローンに対してどのくらい有効なのかは、2024年の4月と10月のイランによる2度の大規模攻撃で初めて本格的に試された。米国やその他のパートナー国による強力な支援も受けつつ、イスラエル側はイランから飛来したミサイルの80%超を撃墜し、被害を最小限に抑えた(目立つ被害のひとつに、ネバティム空軍基地の舗装面の陥没がある)。
Good analysis by @dex_eve on the Nevatim Airbase strike:
— Evan Hill (@evanhill) October 4, 2024
-At least 33 craters
-Limited damage, but one apparent hit and two near misses at F-35 shelters
-Iran has proven its missiles are effective and can defeat Israeli air defensehttps://t.co/Uhnhbes4Fa


