価格に「安全マージン」はあるか?
「投資において最も重要な3つの単語は、Margin of safety(安全マージン)です」とバフェットは述べている。1996年に開催されたバークシャー・ハザウェイの株主総会で彼は、「9800ポンドのトラックを運転して、『耐荷重:1万ポンド』と書かれた橋を渡ろうとしてはいけません。少し探し回って、『耐荷重:1万5000ポンド』と書かれた橋を見つけるのです」と説明した。
彼の投資シートでは、現在の株価と、その企業の本源的価値の推定額とが比較されていることだろう。それにより彼は、事業がもつ「価値」よりもかなり低い「価格」を支払っていることを確かめるのだ。
永遠にその株式を保有したいと思えるか?
「もしあなたが10年間株を所有する気がないのなら、10分間株を所有することなど考えるべきではありません」とバフェットは1996年の株主への手紙に書いている。また別の時には、「私たちが最も好む保有期間は、永遠です」とも述べている。
彼の投資シートには、次のような項目があるはずだ。この事業全体を所有しても構わないか? この企業全体を所有することに抵抗はないか?
夜はぐっすり眠れるか?
選択を迫られたとき、バフェットは「追加的な利益を得るために、たとえそれが一晩であっても、睡眠の妨げになるようなことはしません」と語っている。彼の投資シートには最後に、以下のようなチェック項目があるはずだ。その企業のファンダメンタルズは短期的な市場の変動にも揺らがないほど健全であり、その株式を保有している間、安らかに眠ることができるか?
本稿で紹介したフレームワークは、バフェットの成功が「複雑な計算式や派手なモデルからではなく、基本原則の遵守から生まれる」理由を説明している。彼の「紙一枚のアプローチ」は、投資家にとって真に重要なこと、すなわち、事業の理解、経営陣の評価、財務の健全性の確認、安全マージンの確保、そして、その株式を長期的に保有する思考を持つことを投資家に強いる。
バフェットが述べているように、「もしあなたが100以上のIQを持っているのなら、それ以上のIQは投資における成功と相関しない」。重要なのは知性ではなく、規律なのだ。投資判断を1枚の紙に収まるものに限定することで、バフェットは自分が本当に理解し、長期的に信じられる事業だけに投資するようにしている。
バフェットの手法のすばらしさは、その複雑さではなく、誰でもこのフレームワークを適用することができるという点だ。難しいのは、そのアプローチを理解することではなく、それを貫き通す忍耐と規律を持つことである。特に、市場がこのアプローチでは合格しないような、一見魅力的な代替案を提示しているときはなおさらだ。


