宇宙

2025.07.06 14:00

太陽系内部に接近中、観測史上最大級の「巨大彗星」に分子ジェットを初検出

太陽系外縁の「彗星の巣」のオールト雲を起源とする、知られている最大級の彗星、ベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星(C/2014 UN271)を描いた想像図(NSF/AUI/NSF NRAO/M.Weiss)

NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)が2022年1月8日に撮影したベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星(C/2014 UN271)(左)と、この画像を用いて得られたコマのモデル(中央)およびコマから分離した彗星核(右)(NASA, ESA, Man-To Hui (Macau University of Science and Technology), David Jewitt (UCLA); Image Processing: Alyssa Pagan (STScI))
NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)が2022年1月8日に撮影したベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星(C/2014 UN271)(左)と、この画像を用いて得られたコマのモデル(中央)およびコマから分離した彗星核(右)(NASA, ESA, Man-To Hui (Macau University of Science and Technology), David Jewitt (UCLA); Image Processing: Alyssa Pagan (STScI))

「爆発的な脱ガス」

今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、米アメリカン大学とGSFCに所属するネイサン・ロスは「今回の測定により、この巨大な氷天体がどのように活動しているかを調べることができる」として「現在確認されているのは爆発的な脱ガスのパターンであり、これにより、この彗星が太陽系の内側に向かって飛行し続ける間にどのように変化するかに関する新たな疑問が浮上している」と述べている。脱ガスは今後も続くことが予想され、UN271彗星がこの数年間のうちに太陽に近づくにつれて、CO以外の凍結したガス、特にメタンやホルムアルデヒドなどのジェットが見られることを、天文学者は期待している。

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彗星の核のサイズを比較した想像図。右端がベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星(C/2014 UN271)で、観測されている彗星の大半は左から2番目のハレー彗星(直径約11km)よりも核が小さく、直径1マイル(約1.6km)以下だ(NASA, ESA, Zena Levy (STScI))
彗星の核のサイズを比較した想像図。右端がベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星(C/2014 UN271)で、観測されている彗星の大半は左から2番目のハレー彗星(直径約11km)よりも核が小さく、直径1マイル(約1.6km)以下だ(NASA, ESA, Zena Levy (STScI))

見つかっている中で最大級の彗星

UN271彗星は、オールトの雲を起源とする、これまでに観測された最大級の彗星だ。オールトの雲は太陽系の周囲を大きな厚い泡のように取り囲んでいると、NASAは説明している。冥王星のはるか遠方にあるオールトの雲は、無数の彗星が集まる貯蔵庫だ。だが、UN271はこれまで発見された中で最大の彗星というわけではない。史上最大の彗星は「1729年の大彗星」と呼ばれるサラバ彗星(C/1729)と考えられており、肉眼で観測できた。

forbes.com 原文

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翻訳=河原稔

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