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2025.07.04 09:15

ふくらはぎの太さが全身の筋量に関係 世界初の研究でサルコペニアの発見がうんと簡単に

Getty Images

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歳を取ると、人によって筋肉量が減り筋力が低下する「サルコペニア」という症状が表れる。そうなると歩行をはじめとする日常の動作が鈍くなり、生活の質が低下する。日常動作が困難になる前に、筋肉量が減り始めていることがわかれば効果的に予防もできる。そのための非常に手軽で画期的な計測方法を早稲田大学が発見した。

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サルコペニア(筋肉減少症)、ロコモーションシンドローム(ロコモ)などの言葉がよく聞かれるが、運動を続けていなければ若い時期をピークに筋肉量は低下していく。一度減ってしまった筋肉を元に戻すのは不可能ではないが、年齢があがるほどトレーニングは厳しくなる。だから、減らないように維持することが大切だ。

そこで早稲田大学スポーツ科学学術院の谷澤薫平准教授、明治安田厚生事業団 体力医学研究所の川上諒子研究員らによる研究チームは、ふくらはぎの周囲長と筋量の関係を調査した。現在すでに、ふくらはぎの周囲長の測定などからサルコペニアの疑いを判断するスクリーニング法が定着しているが、専用の機器による筋量測定や体力機能測定などを行う必要があり、簡単ではない。この研究は、それがふくらはぎの周囲長の測定だけでわかるようになる可能性を示している。

研究チームは、2015年3月から2024年9月の間に、早稲田大学の卒業生やその配偶者を対象とした健康づくり研究「WASEDA’S Health Study」に2回参加した40〜87歳の日本人成人227人を対象に、世界初の試みとなる平均8年間にわたる個人の追跡調査(縦断調査)を行った。さらに、二重エネルギーX線吸収測定を行う専用機器にて、両腕両脚の筋量を測定し、ふくらはぎ周囲長と筋量の変化の関係を分析した。

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その結果、男女ともふくらはぎ周囲長と筋量の変化に正の相関関係が確認された。つまり、ふくらはぎが細くなると筋量が減り、太くなると筋量が増えるということだ。年齢や肥満の状態が違っても、その傾向は変わらなかった。

「一般にウエストが太ってきたら肥満を気にするように、ふくらはぎが細くなったら誰もが筋量減少を気にすることが日常になる日はもうそこまで来ています」と研究チームは話している。今後さらに詳しい研究を進める必要があるものの、現時点でも、ふくらはぎの周囲長を定期的に記録すれば、自身の運動の計画に役立つのではないか。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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