ヘルスケア

2025.06.30 11:30

キノコやエビの殻に含まれる成分が体内のマイクロプラスチックを除去

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問題の解決より未然に防ぐ方法を

問題を解決しようとするより、未然に防ぐ方が良い。マイクロプラスチックはプラスチックから発生する。これに対処する公的な取り組みはあるものの、プラスチック産業は私たちの生活に欠かせないものであり、自然に消滅することはない。だが、代替手段に積極的に投資することで、社会全体の変化をもたらすことができる。

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プラスチックは至る所に存在し、消費者はそれを避ける現実的な選択肢を持っていない。私たちはプラスチック容器に入った食品を電子レンジで加熱するのを避けたり、プラスチックで包装された商品を買うのをやめたりする以上の対策を講じなければならない。だが、一度でも買い物に行ったことがある人なら、これが不可能だと分かるだろう。すべての商品がプラスチックで包装されているからだ。現代社会に生きるということは、廃棄物を生み出すことであり、たとえ善意を持った人でも腹を立てる以外にできることはほとんどない。

一般的に、緑化屋根は雨水の貯留や空気と排水の浄化に効果的で、これにより下水処理施設の負担を軽減する。また、都市の気温を下げ、ヒートアイランド現象を緩和する役割を果たす。シンガポールは長年、この模範的な例を示してきた。この慣行をあらゆる都市で直ちに導入すべきもう1つの理由がある。緑化屋根は、マイクロプラスチックの除去に97.5%の効果があることが認められているのだ。

太平洋ごみベルトの清掃は有効か?

すでに捨てられたプラスチックを取り除けば、純粋な利益が得られる。太平洋ごみベルト(訳注:北太平洋の海洋ごみが集積している海域)の清掃という大規模な取り組みを巡っては、これに伴う温室効果ガスの排出や海洋生物への影響を考慮すると、何が最適な方法なのかは分からない。かつて廃棄タイヤを利用したサンゴ礁の修復構想が進められたように、太平洋ごみベルトを放置して、その上にサンゴ礁が形成されることを期待するというのも一理あるかもしれない。

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だが、オランダの環境保護団体オーシャンクリーンアップの比較分析では、行動を起こすことによる影響は一部あるものの、何もしないことによる影響の方がはるかに深刻であることが示された。すでに放出された物質がマイクロプラスチックやナノプラスチックに分解し続ける前に可能な限り除去する積極的な措置は、長期的な環境保全には有効な戦略だ。提示されたシナリオでは、こうした積極的な措置により、プラスチック汚染の水準が安全限度とされる基準以下にまで低下する。行動を起こさない方が、長期的には高いコストを伴うことになる。

複雑な問題は、単純な方法では解決できない。プラスチックを別の物質に完全に置き換えることはできないが、使用方法を見直し、害を軽減するための新たな戦略を練ることはできる。これらの戦略が有効であることが証明されれば、それを幅広く適用していくべきだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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