ヘルスケア

2025.06.30 11:30

キノコやエビの殻に含まれる成分が体内のマイクロプラスチックを除去

Shutterstock.com

キノコやエビの殻に含まれる成分が体内のプラスチックを除去

キチンは、キノコのほか、甲殻類や昆虫の外骨格に含まれる化合物だ。キチンから簡単に作ることができるキトサンは栄養補助食品として販売されており、消費者が満腹感を得られるようにしつつ、脂肪の吸収を阻害し、コレステロール値を下げる働きがある。また、傷の手当てにも適している。

advertisement

私たちはキトサンの生産量を増やし、主流にするべきだ。なぜなら、キトサンにはもう1つの重要な利点があるからだ。新たな研究により、キトサンがマイクロプラスチックを体内から除去することが示されたのだ。この研究は短期間ではあったが、示唆に富むものだった。今後、人間の被験者を用いた長期にわたる実験が期待される。

研究者らは、2つの重要な結論を提示した。マイクロプラスチックはたとえ短期間の摂取であっても、消化管に蓄積される。特に小腸と大腸の間の袋状の部分である盲腸にたまりやすい。これらのプラスチックから化学物質が溶出し、その粒子が最終的に体内に吸収されることを考えると、この毒物が体内に蓄積する前に排出する方が明らかに賢明だ。

実験では、キトサンを含む餌を与えられたラットは、他の群より多くのマイクロプラスチックを排せつした。ラットが数日間で摂取した量より多くのマイクロプラスチックを排せつしたことは興味深い。これは、キトサンが単に摂取した直後のマイクロプラスチックの吸収を阻害するだけでなく、最近摂取されたマイクロプラスチックの腸管からの排出を促す可能性があることを示唆している。さらに、ラットを安楽死させ解剖した結果、キトサンを与えられた群の結腸が最も軽かったことから、排せつ物の蓄積自体が最も少なかったことが示された。

advertisement

甲殻類やキノコに対するアレルギーがない限り、キトサンを食事に添加する際の副作用は胃の不快感程度だ。つまり、合理的だと言えるだろう。だが、これは医療上の助言ではない。先述したように、今後人間を対象とした長期的な研究が実施され、より多くの情報が得られることを期待しよう。とはいえ、筆者はこの結果に興味をそそられている。

次ページ > 問題の解決より未然に防ぐ方法を

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事