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2025.07.01 17:00

人間関係を「シャットダウン」してしまう3つの理由と決断前に把握すべきこと 心理学者が伝授

Shutterstock.com

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「あの人とはもう話さない」という言葉は、ほとんどの人がどこかで口にしたことがあるだろう。それは、不満と諦めが混じった最後通告のように聞こえることが多い。だがこの言葉の根底には、単なるコミュニケーション疲れ以上の深いものがある。

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臨床的に観察すると、この言葉は恋愛関係や友人関係、あるいは親と成人した子どもの間であっても、静かな転換点となることが多い。

この言葉が真に意味する心理面での3つの変化を紹介する。

1. 感情面で安全でなくなった

感情面での安全性は、あらゆる有意義な関係を支える目に見えない基盤だ。それがあるからこそ、私たちは自由に話し、感じたことを分かち合い、傷つけたことを認め、恐れずに意見をぶつけ合える。その基盤が揺らぎ始めると、往々にして認識する前に自分の中で何かが変わる。

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口にする言葉を選ぶようになる。自分の一部を抑える。悲しみをトーンダウンさせ、自分のニーズをごまかし、肝心の会話を避けるようになる。

やがて、まるで差し迫った衝撃に神経をピリピリさせるかのように、自分がますます防衛的になっていることに気づく。「喧嘩になるのではないか、また誤解されるのだろうか」と自問し始めるかもしれない。

これは過剰反応ではない。あなたの体は長年かけて学んだ方法で自分を守ろうとしているのだ。

心理学者スティーブン・ポージェスの「ポリヴェーガル理論」によると、私たちの神経系は人間関係における安全や脅威の合図がないか常にアンテナをはっているという。これは多くの場合、気づかないうちに展開されている。

ため息や嫌味な口調、軽蔑的な眼差しといった微妙なものであっても、身体が関係における危険を察知すると、社会との関わりのシステム(周囲の人に対する開放性や協調性、共感をサポートする神経系の一部)がシャットダウンし始める。そして自己防衛が取って代わる。

最近発表された神経生物学的研究は、感情面での安全性はもはや特別なものではないことを裏付けている。人が生きていく上で必要とする重要なものだ。弱さを見せるためには、安全だと感じる必要がある。研究者ブレネー・ブラウン言わく、「弱いことで愛や居場所があるという意識、喜び、勇気、共感、責任、そして真正性が生まれる」のだ。

人間関係における安全性という考え方に、たじろぐ人もいる。単調さや慣れ親しんだ環境を意味すると考えるからだ。だが実際は、私たちが憧れてやまない親密さは、身を守る必要性を感じなくなったときに初めて深まるものだ。

こうしたことから、もしあなたが人間関係の中で自由に成長するのではなく黙ってしまったり、引きこもってしまったり、あるいは言動に慎重になっていることに気づいたら、それは単にあなたが「シャットダウン」してしまったということではないかもしれない。あなたの身体が解放的でいられるほど、安全だと感じなくなったということかもしれない。

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翻訳=溝口慈子

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