欧州のスタートアップエコシステムに詳しい調査会社Dealroomのデータによると、英国のケンブリッジは、スタートアップ企業が成功する確率が最も高い都市の1つに挙げられるという。
Dealroomの分析によれば、ケンブリッジでシードラウンドを実施した企業の約41%が、シリーズAラウンドに進んでいる。この確率は、オックスフォードの35%やロンドンの33%を上回っている。また、米国サンフランシスコのベイエリアの新興企業が、シリーズAに進む確率は40%とされている。
さらに、Dealroomがまとめたケンブリッジのスタートアップが昨年新たに調達した資金の総額は23億ドル(約3320億円)で、2023年の12億ドル(約1730億円)からほぼ倍増し、史上2番目の規模に達していた。
このことは、欧州の他の地域における資金調達が減速傾向にあるなかで、際立ったことと言える。ロンドンのスタートアップが昨年調達した資金の総額は、113億ドル(約1兆6300億円)に達していたが、これは2023年との比較で12%減少していた。また、ストックホルムやベルリンなど他の欧州の主要都市にある新興企業の調達額も昨年、減少していた。
一方、ベンチャーキャピタルの投資家たちは、テクノロジー企業の比率が高い地域に注目している模様で、オックスフォードの新興企業は昨年、前年比1%増の7億600万ドル(約1020億円)を調達していた。さらに、チューリッヒのスタートアップの調達額も昨年、前年比5%増の9億9000万ドル(約1430億円)に達していた。
そんな中、Dealroomは、ケンブリッジのテクノロジーセクターの規模を2220億ドル(約32兆円)と試算しており、ロンドンを除くすべての英国の都市を上回っていると推定している。Dealroomの創業者のヨラム・ウィジンガードは、「ケンブリッジは伝統的に科学やテクノロジー分野で強みを持つ都市で、欧州のエコシステムの輝かしい模範であり続けている」と述べている。
理系分野に強みを持つケンブリッジ大学で知られるケンブリッジには、半導体大手のArm(アーム)や自動運転テクノロジーのWayve(ウェイブ)、量子コンピューティング技術のQuantinuum(クオンティニュアム)などのグローバル企業も拠点を置いている。このような企業の成功は、地元の多様な起業家支援策にも後押しされている。
「より多くの新興企業を成功に導くためには、メンタリングや資金調達面などで適切なサポートを行う必要がある」と語るのは、ケンブリッジ大学のアクセラレータープログラム「Founders at the University of Cambridge」のマネージングディレクターを務めるジェラード・グレックだ。このプログラムは、同大学のイノベーション機関であるケンブリッジ・エンタープライズと連携して運営されている。



