SMALL GIANTS

2025.07.24 17:45

つながりが生むイノベーション──「学びの場」をデザインする力

つながりの質が、未来の可能性を変える──。異なる分野や立場の人たちとどう出会い、どう交われるのか。地域づくりや事業開発の現場で試行錯誤を重ねる中で、私は1つの戦略にたどりつきました。

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それが「コネクティブラーニングストラテジー」。

“学びの場”を自らデザインし、多様な人々と知が交差する機会を生み出すこのアプローチは、単なる交流ではなく、未来を共創するネットワークの「土壌」になると実感しています。なぜいま、「場を持つこと」が重要なのか。その手応えと可能性を、私自身の実践を通してお伝えします。

イノベーションは“知の掛け算”から生まれる

イノベーションとは、単なる技術革新や新商品開発を意味するものではありません。本質は、異なる分野の人や知識、視点が交差し、新たな価値が生まれる「知の掛け算」にあります。

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経済学者シュンペーターが語った「イノベーション=新結合」という考え方は、いまなお大切な示唆を与えてくれます。

たとえば回転寿司。1958年、大阪で立ち食い寿司店を営んでいた白石義明氏が、ビール工場のベルトコンベアから着想を得て、寿司の提供方法に応用したことが始まりでした。寿司職人の手仕事と工業技術の“結合”が、手軽に食べられる新しい食文化を生み出したのです。

あるいはフォードの大量生産方式も同じです。彼は自動車製造のヒントを、食肉処理場のライン作業から得たといいます。一見まったく関係ないような分野からの気づきが、産業を変えたのです。

こうした事例に共通するのは、「意味のある掛け算」がイノベーションを生み出していること。異なる世界をつなぐ視点や関心が、次の時代を切り拓いてきたのです。

「つながり」を偶然にしない──戦略としての“学びの場”

こうした“ひらめき”や“新結合”は、待っているだけではなかなか生まれません。私は日頃から意識的に、多様な情報や人と出会う機会をつくるようにしています。

そしてそのために、自ら学びの場をつくるというアプローチをとっています。私はこれを「コネクティブラーニングストラテジー(Connective Learning Strategy)」と呼んでいます。

次ページ > 「主催」でこそ、人と人をつなぐ場を意図的に設計できるように

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