欧州

2025.06.24 10:00

極右政党が躍進するドイツ、3割近い移民が出国を検討 差別などを理由に

ドイツ中西部ノイイーゼンブルクで開かれた極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の選挙集会で、ドイツ国旗を振る支持者。2025年2月1日撮影(Thomas Lohnes/Getty Images)

ドイツ中西部ノイイーゼンブルクで開かれた極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の選挙集会で、ドイツ国旗を振る支持者。2025年2月1日撮影(Thomas Lohnes/Getty Images)

ドイツ在住の移民の3割近くが、経済的な懸念や差別を理由に出国を検討していることが明らかになった。

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ドイツ連邦雇用研究所が発表した報告書によると、調査対象者となった移民の57%が同国に永住する意向を示した一方、26%は過去1年以内に出国を検討したことがあると答えた。この結果は、深刻な労働力不足に直面している欧州最大の経済大国であるドイツにとって、見過ごせない問題を示唆している。

移民が出国したいと思う理由はさまざまだった。母国への帰国を希望する人々は家族と再会したいという理由を挙げたが、別の国に再移住することを望む人々は、ドイツを離れたい理由として、経済的機会への不満や官僚主義、税負担を挙げる割合が大きかった。そのほか、ドイツの移民政策や外国人が受ける差別を理由に挙げる移民もいた。

報告書の著者は、特に当局や警察とのやり取りや職場などで差別を受けたと感じた移民は、国を離れることを希望する可能性が著しく高まると述べた。中でも、教育水準が高く経済的に自立している人や社会への統合に成功している人ほど、ドイツを離れて他国への再移住を検討する傾向があると説明。「ドイツの将来の労働力に最も必要とされる人ほど国を離れる傾向が強い」と指摘した。

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同国では長年、高齢者の引退に伴う労働力不足が深刻化しており、労働市場を安定させるには数十万人、あるいは数百万人もの労働移民が必要だと推定されている。同国の歴代政権は官僚主義を緩和し、労働ビザ(査証)の発給数を増やすことでこの状況を改善しようとしてきたが、移民、特に不法移民を巡る問題が国内政治を緊張させ、事態を複雑化させている。

移民排斥を訴える極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が選挙で躍進したことで、移民問題は政治の中心課題となった。最近選出された中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)所属のフリードリヒ・メルツ首相は、ドイツに避難を求める人々を厳しく取り締まると公約している。

亡命希望者や保護を求める人々などの非正規移民と労働移民は異なるが、ドイツの議論では、特にAfDによって、この2つが次第に結び付けられるようになっている。職場の多様性推進策を標的とするなど、AfDの移民に対する過激な発言がドイツへの労働移民の流入を阻害する可能性があるとして、昨年の州議会選挙を前に、多くの著名な経営者がAfDに対する批判の声を上げた。

今回の報告書はその懸念を裏付けるもので、移民に対する差別が外国人居住者の判断に大きな影響を与えていることが浮き彫りになった。報告書は政府に対し、官僚主義の緩和や家族統合の支援、職場での差別の撤廃といった措置を講じるよう提言し、次のように結んだ。「移民が社会に完全に受け入れられたと感じ、社会参加と職業上の成長の真の機会を与えられた場合にのみ、ドイツを長期的な居住地として選ぶようになるだろう」

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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