JWSTの宇宙論的コルヌコピア(豊穣の角)
英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ教授(天体物理学)のリチャード・エリスは取材に応じた電子メールで、(本格運用が始まった2022年夏から)3年足らずのJWSTは、銀河形成に対する観測感度については過去20年間のハッブル宇宙望遠鏡や地上の大型望遠鏡よりも上回っていることはほぼ間違いないと述べている。
バンカーも同見解
最初期の銀河の一部は紫外線で非常に明るいことがJWSTの観測で明らかになっているが、これにより初期の銀河でどのくらい活発に星形成が起きているかに関する情報が得られると、バンカーは指摘している。
初期の銀河に関して最も頭を悩ませられることは何だろうか。
ロンドン大のエリスによると、標準的な描像では、外からのガスの流入と銀河合体により、銀河には長い時間をかけて徐々に恒星が集まると仮定している。にもかかわらず、最初期の銀河は後の時代に見られる銀河に比べて高光度であることが多いという。
また、赤方偏移の大きい初期宇宙で一部の化学元素の相対存在量が異常に多く、特に初期の銀河で窒素が非常に豊富なのはなぜかについて、天文学者は頭を悩ませている。
だが、宇宙論の至高の目標は手の届くところまできているのだろうか。
現在、観測されているこれらの銀河は特別な時期、おそらく誕生に近い時期にあるのだろうとエリスは考えている。エリスによると、これらの銀河が異常に明るいのは、形成から数千万年後に突然活動的になるからかもしれない。この場合、この光度はあまり長くは維持できないだろう。
けれども、単に大質量星の数が後の時代の銀河に見られるよりも多いだけかもしれない。
いずれにしてもこれは、銀河が最初に暗黒から現れたのはいつかという「至高目標」に近づいている可能性があるとの事実を指し示していると、エリスは主張している。
真の宇宙の夜明けは見つかるか?
エリスによると、暗黒時代から最初に現れる「始原的な化学組成」の銀河を見つけることはできないかもしれない。
その理由は、ガスが始原的な組成を持つ期間が500万~1000万年間と非常に短かったからだ。
だが、生まれて間もない恒星によってガスが最初に加熱されると、ビッグバンの宇宙背景放射に対して見える低温ガスの吸収シグナルを誘発するという。
西オーストラリア州で完成に近づいている超大型電波望遠鏡の国際建設プロジェクトの「1平方キロメートル電波干渉計(SKA)」が、JWSTのさらなる進歩と連携することで、この決定的なシグナルを捉える可能性があると、エリスは話している。


