マイクロソフトによれば、会議の半分以上は予定外のもので、10%は土壇場で開催が決まっている。また、参加者が65人を超える大規模な会議が最も急増しているという。会議で問題となるのは日程調整だとよく言われるが、私たちを本当に苦しめているのは会議を取り巻く「土壇場文化」だ。カンボンは筆者との対話の中で、こう述べている。「私たちには集中する時間が足りていない。考えをしっかりまとめて準備する時間もない。何もかもが慌ただしく、急かされているように感じられる」
その結果、私たちは何より貴重な時間を予定外の会議に費やし、自分が下したわけでもない決定に、さして考える間もなく対応を求められているのである。
このしわ寄せは、1日に3回ある生産性ピークの3回目にきている。これはもはやコロナ禍の影響ではない。夕方に開催される会議は16%増え、労働者の約30%が夜10時以降にメール対応を再開する羽目になっている。Word、Excel、PowerPointを用いた文書作成は週末に急増する。週末になれば集中力を乱す「雑音」が消え、考える時間がようやく取れるからだ。
かつて仕事と生活の両方を充実させるワークライフバランスを約束するものであったフレキシブルな働き方は、今では「いつでも働ける」と解釈されることがあまりにも多くなった。誰もが自分のリズムで仕事をしていても、相手からすぐに反応があることを皆が期待していれば、本当の意味でのオフ時間が存在しない業務体制になってしまう。休息がないのだ。したがって、回復することもできない。
AIは救いの手か、それとも労働者を急き立てる鞭か?
今、多くの人がAI(人工知能)に希望を見ている。そして実際、AIは助けになる。メールの下書き、メモの要約、会議の日程調整といった煩雑な作業が、AIを活用すれば楽に処理できる。だが、そうやって生まれた空き時間を使ってさらに多くのタスクを捌こうとするなら、問題を解決するどころか、加速させているにすぎない。


