UCLA准教授で認知行動療法の専門家、ジェニファー・L・タイツ著『瞬間ストレスリセット——科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ダイヤモンド社刊)がビジネスパーソンの間で密かに話題だ。
以下は本書の訳者で、ベストセラー『スマホ脳』『メンタル脳』(ともに新潮社刊)などの訳業もある、スウェーデン在住久山葉子氏による本書「あとがき」と本文からの一部抜粋である。
ストレスは瞬時に50%減らすことができる
ストレスは瞬時に50%減らすことができる。完全無料で、努力も要らない。だからどうか悪化させないで━━これは精神医学の教授、ニューマン博士の言葉だ。ストレスはその人の反応の仕方で度合いが変わってくるし、その反応の仕方は変えることもできるのだ。
認知行動療法というのはまさにそのためのテクニックで、ストレス軽減はもちろんのこと、うつ病やパニック障害、PTSDなどさまざまな精神疾患の治療法として世界中でとり入れられている。不安や怒りなどのネガティブな感情が湧いてしまいそれに苦しんでいる人も、原因を解決できなければ気持ちを改善できないとは思い込まずに、まずは『瞬間ストレスリセット——科学的に「脳がラクになる」75の方法』を読んでみてほしい。
ストレスのない人生などありえない。ただし人生がうまくいっている人はストレスを上手に活用し、うまくいっていない人はストレスに感情や行動を支配されてしまっているといえる。つまり、ストレスをどう扱うかはその人次第ということだ。
個人的には、本書でも紹介されているが、緊張するイベントの前に感じていた不安なドキドキを「ワクワク」に捉え直すというテクニックを使っただけで、すごく楽しみになるという体験をした。それ以来、この単純かつ効果の高いテクニックを重宝している。
「瞬間的に効くテクニック」あれこれ
これまでに翻訳した『スマホ脳』や『メンタル脳』(ともに新潮社刊)をたくさんの方に読んでいただき、嬉しい反面、メンタルに危機感を覚えている読者がいかに多いのかを実感した。地球や社会の未来を考えても、ストレスや不安が尽きないのは当然の時代だ。今までのように気合いだけで自分を奮い立たせようとしても、もう無理だということには多くの人が気づいているのではないだろうか。



