呼吸と身体の感覚に意識を向けるテクニック
寝る前に気持ちが落ち着かない、夜中に目が覚めて何度も寝返りをうちながら、「今すぐ寝ないと明日はひどい1日になる」と苦悩しているとき。または、痛みや悩み(体重や体型へのネガティブな感情など)から注意をそらすために試してもよい。
ここで紹介する 「ボディ・スキャン」 は自分の身体に対する認識を広げてくれる。
心を落ち着けて入眠を促すリセットなので、そのあと起き上がって行動しなければいけない場合には勧めない。
1 . 仰向けになり、呼吸と身体の感覚に注意を向ける。そして身体がベッド、あるいは床に触れている部分に意識を向け、息を吐くたびに身体が深く沈むイメージをする。眠らなければと思うのではなく、意識に集中する。「今この瞬間を感じる」以外に何かしようと思わなくていい。
2 . 呼吸に集中すると、自然にお腹が上がったり下がったりする。呼吸を続けながら、息を吸うとお腹がどんなふうに膨らみ、へこむかに注目する。
3. 意識を左足に移し、つま先まで下ろす。足の指1本1本の感覚にフォーカスし、どんな感覚があるのかを判断せずに、ただ感じとる。吸った息を左足のつま先まで届けるイメージで。
4. 左足の裏とかかとに意識を移動させ、そこの感覚に注意を向ける。とくにかかとがベッドか床に触れている部分に。足に集中しながら呼吸も意識し続ける。
5 足から頭に向かってゆっくり意識を移動させながら、同じことを繰り返す。
各部分に少しずつ時間をかけて(左足首、左すね、左膝、左腿、右のつま先、右足の裏、足首、右すね、右膝、右腿、骨盤、お尻、腰、お腹、背中、胸、肩)。
そして手に移動する(両手同時でよい)。指から始めて、手の平、手の甲、手首、前腕とひじ、上腕、もう一度肩、脇の下、首、顔(顎、口、唇、鼻、頬、耳、目、額)、最後に後頭部。もし途中で意識がそれてしまったら、(それが普通だが)、それに気づくようにし、意識がそれたことを悪いとは思わずに注意を戻す。
ボディ・スキャンは漸進的筋弛緩法に似ているが、身体に力を入れたくない場合に適した方法で、全身にやさしく注意を向けられる。
この練習を続けることで、自分の健康状態に感謝し、非現実的な目標(秒で眠りにつくなど)を手放すことができる。
ここに挙げたものは著者、タイツ博士が提唱する75の方法のほんの1つにすぎない。書店でこの表紙を見かけたら、立ち読みででも、他の方法をチェックしていただきたいと思う。「自分に合う一手」がきっと見つかるはずだ。