ハワイ進出10年「つや姫」の功罪
ハワイ進出を果たした日本産米のなかでも、とくに山形県産の「つや姫」は、2016年からハワイで販売プロモーションを開始。「つや姫の生みの親」を自認する吉村美栄子県知事の陣頭指揮のもと、山形県特命観光・つや姫大使を務める俳優の船越英一郎氏もハワイにやって来て、つや姫の認知を促進するイベントや販売プロモーションを展開した。在ホノルル日本国総領事館も全面的に協力し、地元政財界や食流通業界を招いて、つや姫をはじめとした山形県産品を試食するレセプションパーティーまで開催する力の入れようだった。
山形県の素晴らしいところは、このつや姫プロモーションを今年2025年に至るまで継続したことだ。この5月には、吉村県知事や船越英一郎氏が県民団や県議団を引き連れて、「つや姫ハワイ進出10周年」を記念する盛大なプロモーションをホノルルで実施した。これら施策のおかげで、ハワイでの「つや姫」の認知度はこの10年で飛躍的に向上し、今や高級日本産米の代名詞としてすっかり定着してしまった。
困ったことに、日本産米のなかでも高品質とされる「つや姫」(山形県では認定された農家しか生産できないなど品質管理が徹底されている)の味に一度慣れてしまうと、もうカリフォルニア産米には戻れない。皮肉にも「各種の日本産米がハワイで買えるのは嬉しいけれど、味を落とせないのでお米代が家計を圧迫するようになった」という声も聞かれるのである。
そして、冒頭で紹介した辛坊治郎氏の投稿が象徴するように、かつては割高とされていた海外での日本産米の価格も、いまや日本国内で米の価格が高騰し、決して「高くない」レベルになってしまった。
「コシヒカリ」5キロを19.99ドルで販売していたドン・キホーテでは、店内で「安田精米」と称したお米売り場兼精米所を展開。「コシヒカリ」「ゆめぴりか」などの日本産ブランド米約2.2キロを10ドル前後で販売している。山形県のブランド米の「はえぬき」もある日の店頭では5キロが24.99ドルで特売されていた。


