働き方

2025.06.19 10:00

ついていきたい上司は「問い」を立てる 「部下を理解したつもり」という課題

Shutterstock.com

Shutterstock.com

ほとんどのリーダーは自分の仕事に自信を持っている。明確なコミュニケーションをとり、チームメンバーを評価し、意見を促し、従業員が留まりたくなるような職場を作っていると信じている。だが、実際にはどうなのか従業員に尋ねると答えは異なる。離職や意欲の低下、機会損失といった形で現れるまで、こうした乖離は見過ごされがちだ。

advertisement

リーダーが気付かない、部下との「認識のズレ」

筆者が米ファーストフードチェーンのYum.Brands(ヤム・ブランズ)の前最高経営責任者(CEO)のデビッド・ノバクにインタビューした際、ノバクは「79%の人が感謝されていないと感じることを理由に退職する」と話した。評価が中身を伴わないものだったり的外れだったりすると、人は離れていく。誠意をもって評価しなければ、最も高くつくリーダーシップの過ちのひとつになりかねない。

多くの企業でリーダーたちは好奇心やオープンな対話、一貫した実績を促進する環境を作っていると本気で信じている。その証拠として、表彰制度や評価のメッセージ、従業員調査などを挙げることが多い。だがこうした取り組みが従業員が実際に重視するものとかけ離れている場合、それらは失敗に終わる。従業員らは自分たちが大切にしていることに注意を払ってもらうことを望んでいるが、リーダーは往々にしてそれが何であるかを尋ねないため知らない。もうひとつの問題は、選別されたフィードバックにある。リーダーは耳にしたいことを伝えてくれる人に囲まれていることが多い。すべてうまくいっていると聞かされると、初期の警告サインを見逃しやすくなる。やがて認識と現実はかけ離れていき、人々はそれを修正しようとしなくなる。

従業員がリーダーに本当に必要なことを伝えないわけ

従業員はやる気を起こさせる事柄について共有することをやめてしまうことが多い。話したところで違いを生まないことを学んだためだ。発言が裏目に出たり、他の人が無視されるのを見たりすると、黙っている方が楽だと判断する。目立たないようにする人もいれば、最低限の発言をする人もいる。しかし多くの人は、履歴書をアップデートするずっと前からリーダーと現場の乖離を感じている。

advertisement

従業員のそうした沈黙は、満足しているためとリーダーに誤解されがちだ。だが、不満がないというのは、すべてがうまくいっていることを示すものではない。自分の意見が重要だという自信を失っていることを意味しているのかもしれない。そうなると、静かな退職に悩まされる職場になってしまう。

次ページ > なぜリーダーの評価が部下に響かないのか

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事