なぜリーダーの評価が部下に響かないのか
リーダーたちは、評価が誰に対しても同じように機能すると思い込んでいることが多い。ある人にとってはチーム全体への感謝やちょっとしたボーナスが意味があるものであっても、別の人にとっては的外れなものかもしれない。部下が出した結果に対する好奇心・探究心がなければ評価は通り一遍なものになってしまう。表面的に良い言葉をかけられても、真に理解され感謝されているとは感じない。
例えば、「目標達成おめでとう」というどの部下やどんな結果にも言える言葉だけでなく、「目標達成のために、どんな新しいアプローチを試したの?」と尋ねその部下ならではの具体的な貢献や工夫に耳を傾けるといった具合だ。
評価は具体的で時宜を得たものでなければならない。個人の価値観と会社の核心的な優先事項を反映したものであるべきだ。ノバクはこれを「パーパス(目的意識)と結び付いた承認(パーパスフル・レコグニション)」と呼んだ。これには組織が信じている価値観に沿った行動を取った者を名指しで賞賛することも含む。このような評価は成功とはどのようなものかを他者に教えることになる。
優れた結果を出した部下に対して、「顧客第一」「チームワーク重視」など企業の価値観・行動指針に基づいた賞賛を行うことで、さまざまな部下の間に行動指針・価値観の「生きた解釈」が浸透し成功の定義が共有される。
リーダーが思い込みに走る場合に起こること
企業で思い込みがあると人材を失う。時間通りに出勤している、あるいは発言しないといったことを理由にその人は幸せだとリーダーが思い込むと、真実を見誤る。人前で褒めれば十分だと思い込むと、内々の思慮深い言葉を好む人に気づかない。公平さを保つために全員に同じフィードバックをすると、人間味のないものと受け取られがちだ。
最高のリーダーは、好奇心・探究心を持つ。どのような評価が最も有意義に感じられるかを尋ねるのだ。そして、人々がどのような取り組みを最も誇りに思っているかを知り、フィードバックと強化したいパーパス・価値観に結びつける。
好奇心・探究心と評価を結びつけるべき理由
好奇心・探究心は最も過小評価されているリーダーシップの習慣のひとつだ。より多くの質問をするリーダーはより良い答えを得る。水面下で起きていることを耳にする。必ずしも目につくものではない取り組みに気づく。チームがどう考え、何を必要としているかを把握する。そのようなリーダーの取り組みが、個人的かつ努力が報われたと感じられる評価につながる。
好奇心・探究心を持つリーダーは、洞察力を得るために、結果以外のことにも目を向けることを習慣にしている。現場を歩き、話すよりも耳を傾け、小さな成果をリアルタイムでキャッチし、誠意をもって対応する。そうした行為に一貫性があるとチームは変わり始める。人々は新しいアイデアを持ち出す。自分に注意が向けられていると感じ、貢献しようと思う。


