サイエンス

2025.06.15 11:00

ヒトラーとプーチン、トランプに共通する「自己愛性リーダーシップ」 その起源を探る

ドナルド・トランプ米大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2018年7月16日、フィンランド・ヘルシンキにて(Chris McGrath/Getty Images)

3. ドナルド・トランプ

トランプの生い立ちには米国資本主義のフィルターがかかってはいるものの、心理学的特徴には前述の2人と似通った点が見受けられる。1946年にニューヨークのクイーンズ地区に生まれたトランプは、権力と成功こそがすべてという家庭で育った。

advertisement

父フレッドは大成功を収めた不動産王だった。要求は高く、感情的な距離感は遠く、ひたすら成果を求めた。トランプは父親を「タフな男」だと評し、「殺し屋のようになる」ことを教えてくれたと述べている。母メアリーは愛情深かったといわれるが、病気がちだったため、トランプの成長過程における重要な時期には情緒的な関わりをほとんどもたなかった。

トランプは13歳の時に突然、全寮制の軍事学校に転入させられる。これは息子の「乱暴な」ふるまいを見とがめた父親による懲罰だった。

これについてトランプは価値観や人格形成に大きく影響する「原体験」だったと公言しているが、チフチはむしろ「象徴的な拒絶」だとみている。チフチの言葉を借りれば「それは、寵愛を失うことを意味していた。兄弟や姉たちが自宅で豪勢な暮らしを享受し続けている中で、いきなり天国から追放されたのだ」。

advertisement

トランプの兄フレッド・ジュニアはアルコール依存症に苦しみ、40代で死去した。トランプは、この出来事に深く影響を受けたと認めている。兄の人生とその結末を挫折と受け止めたことで、成功こそが愛や価値を証明する唯一の道だ、という一家のメッセージが強化された可能性がある。

私たちは今日の政治において、恐らくこうした情緒的主題を目の当たりにしているとチフチは主張する。トランプの政治集会、扇動的な言葉づかい、批判に対する打たれ弱さ、群衆の規模やメディア報道への執着などは、いずれも自己防衛的な誇大性に突き動かされた人格の兆候とみなせるという。トランプは崇拝されることを求めており、ありとあらゆる軽視や冷遇を自らの存亡に関わる脅威と解釈している可能性が高いというのがチフチの考えだ。

論文の中でも特に印象的だったのは、政治諷刺画でトランプがしばしば「代償行動として宇宙最強の男になりたがる傷ついた少年」として描かれているとの指摘だ。チフチは簡潔に、「諷刺画家たちは(中略)トランプをよく理解している」と記している。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事