防衛テクノロジー分野のユニコーン企業Anduril(アンドゥリル)は6月5日、ファウンダーズ・ファンドが主導したシリーズGラウンドで25億ドル(約3626億円。1ドル=145円換算)を調達し、評価額が305億ドル(約4.3兆円)に達した。共同創業者兼会長のトレイ・スティーブンスがBloomberg TVのインタビューに答え、明らかにした。同社の評価額は、ここ1年足らずで2倍以上に伸びており、スティーブンスはビリオネアの仲間入りを果たしたことになる。
フォーブスが世界最高の投資家を選ぶ年次リスト「Midas List(ミダスリスト)」2025年版にも19位で名前を連ねるスティーブンスは、今回のラウンドで10億ドル(約1450億円)を投資したファウンダーズ・ファンドのパートナーを兼任しており、自身もアンドゥリルの3%以上の株式を保有している。フォーブスは、スティーブンスの保有資産が10億ドル(約1450億円)を突破したと試算している。
軍事関連スタートアップへの投資熱の高まりがビリオネアに押し上げた
軍事関連のスタートアップへの投資熱の高まりが、スティーブンスをアンドゥリルが生んだ2人目のビリオネアに押し上げた。アンドゥリルの共同創業者兼CEOのパルマー・ラッキーの保有資産も36億ドル(約5220億円)に達している。また、軍事ソフトウェア企業Palantir(パランティア)の共同創業者兼CEOのアレックス・カープの資産は119億ドル(約1.7兆円)とされている。
2017年に設立されたアンドゥリルは、兵器やドローン、軍用ソフトウェアを開発する米国の防衛テックの新世代を牽引している。このエコシステムは2期目のトランプ政権の誕生にも後押しされている。アンドゥリルは先月、トランプ政権が掲げる1750億ドル(約25.3兆円)規模の次世代ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」構想の兵器システム開発における有力候補に、スペースXやパランティアと並んで浮上した。
軍事分野にシリコンバレー流のアプローチを導入
スティーブンスは、シリコンバレーの典型からは外れた道を通ってビリオネアとなった。彼は、複数の政府機関や情報機関での勤務を経て、ピーター・ティールが共同創業したパランティアの初期社員となった。彼はその後、ティールの説得により、2014年にファウンダーズ・ファンドのパートナーに就任した。
スティーブンスはその後、ラッキーと交流を持つようになり、軍事分野にシリコンバレー流のアプローチを導入するというアンドゥリルの構想をふたりで練り上げた。



