企業を買うM&Aという手法が、活況を見せている。しかし、その買い方は本当に企業や従業員、ステークホルダーにとって正解なのか。日本経済全体の「ロールアップ」になるための「賢い買い方」実例集をお届けする。
いい会社とはどういう会社か? その答えの1つとして、「スマートバイヤー」を挙げたい。これはM&A用語の「ストロングバイヤー」に模した我々の造語だ。ストロングバイヤーは買収意欲が高く、売却案件が集中する会社のことだが、「スマート」と称した理由は、合併後の戦略やビジョンなど、そのシナリオと中身に注目したいと考えたからだ。文字通りレバレッジを効かせる「賢い」戦略をもっていると編集部が判断したものを集めてみた。
リスト作成にあたっては、官公庁、金融機関、投資家、起業家、M&A業務を行う仲介会社、コンサル会社などに取材し、選出した。目立ったのは、レガシー産業を守るケースと、テクノロジーとの親和性などから新領域を創出するケースだ。
複数の買収実績がある中堅・中小企業を中心に「異業種進出型」「特化型」「地域戦略型」の3パターンに分けた。業界再編を目指す者、地域経済の底上げ、あるいは何かの目標に向かってコングロマリットを形成する者など、いずれも公共性が高いのが「スマートバイヤー」の特徴である。
まず、このシリーズの第一弾は、北海道と東北エリアから以下の企業を選んだ。
(北海道・東北)
北海道のM&Aでナンバーワンの実績
武ダGEAD
(本社住所)
北海道札幌市
(上場・非上場)
非上場
(業種)
経営コンサル
(主な買収先・進出先)
松本商会(北海道札幌市)など
北海道の経営コンサル業として道内で2024年のM&A実績ナンバーワンを掲げる。14年、建設業を基盤に事業をスタートさせ、買収した企業と成長を目指すM&Aを重ね、創業から10年で連結売上高180億円(2025年7月期見込み)総計20社の企業連合体である。地元のまちづくり、次世代のひとづくりを進めようと、認定こども園やプロスポーツの業界にも参入。24年は男子バレーボールの「北海道イエロースターズ」の親会社になり、経営基盤を強化を図る。




