「踏んだり蹴ったり」の意味とは?
不運が重なって散々な状態
「踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)」は、不運・トラブル・嫌なことが重なって起きる様子を指す言葉です。ひとつのアクシデントならまだしも、次々と問題が発生して気持ちの余裕がなくなり、まさに「踏まれたり蹴られたり」されているような散々な状況を表現します。
語源的には「踏む」「蹴る」という身体的動作を並べることで、度重なる苦痛や嫌な事態を誇張していると考えられています。日常会話でも頻繁に使われますが、ビジネスシーンで状況の深刻さや辛さをイメージ的に伝える際にも用いられます。
ビジネスシーンでの正しい使い方
トラブルが続いた際の報告や雑談
プロジェクトで想定外のトラブルが立て続けに起こったときに「もう踏んだり蹴ったりです」と言えば、立て直しが困難なほど問題が重なっている印象を伝えられます。上司への報告、同僚との雑談など、カジュアルな場面では多く使われる表現です。
相手の状況に同情する場面
同僚が納期トラブルに巻き込まれ、さらに顧客からのクレーム対応が重なってしまった場合、「それは踏んだり蹴ったりだね」と共感すると、相手の苦労に対して理解と労いを示すことができます。
ただし、正式な文書で使用するのはやや口語的すぎるため、内輪の会話やメール向けのフレーズと言えるでしょう。
「踏んだり蹴ったり」と併用されやすい言葉
「散々な目に遭う」
状況が悪化する度合いを強調する表現として「散々な目に遭う」があります。「踏んだり蹴ったりの散々な目に遭った」というようにセットで使うと、不運さがさらに強調されます。
「泣きっ面に蜂」
似た意味の慣用句で「泣きっ面に蜂」があります。すでに辛い状態にさらなる追い打ちをかけられる様子を比喩した言葉です。「踏んだり蹴ったり」とほぼ同等にネガティブな出来事の連鎖を指す表現として使えます。
ビジネスでの活用例
スケジュールが遅延した上にトラブルが発生
「新システム導入で納期がずれこんだうえに、予算オーバーまで起きるなんて踏んだり蹴ったりだ。」
納期遅延と追加コスト発生が重なり、プロジェクト管理が大変な状況を端的に表現しています。
クレーム対応が集中
「今週はクレームが立て続けに入っていて、しかもチームメンバーが病欠…本当に踏んだり蹴ったりです。」
苦しい局面や人手不足のタイミングに、さらに追い打ちがかかっている状態を示します。
類義語・言い換え表現
「泣きっ面に蜂」
先述したように、苦境にあるところへさらなる不運が襲いかかる様子を示します。
「プロジェクトが崩れ始めたところにコストダウン命令が来たなんて、泣きっ面に蜂だ。」
「二重苦」「三重苦」
「二重苦(にじゅうく)」「三重苦(さんじゅうく)」は、文字通り複数の苦難が重なっている状態を強調する表現です。ビジネスプレゼンなどでも「二重苦に見舞われている」などと使われることがありますが、ややかしこまった印象を与える言葉でもあります。
注意点とポイント
フォーマルな場や文書には不向き
「踏んだり蹴ったり」は日常会話向けのくだけた慣用句です。上司や取引先と正式な場でやり取りする際に使うと、やや軽すぎる印象を与える可能性があります。公的レポートや正式なメールでは控えるのが無難です。
相手を批判する表現ではない
この表現自体に相手を非難するニュアンスはありません。あくまで自分や味方側が被害・損失を受けて辛い思いをする状況を示すだけなので、クレームや紛争の相手を批判する際には不向きです。状況の悪化を表す客観的説明として使う意識を持ちましょう。
まとめ
「踏んだり蹴ったり」は、不運やトラブルが次々と重なり散々な状態を示す言葉です。ビジネスでは、相次ぐミスや予想外の事態が連続したときに、口頭や軽めのメールで状況を端的に伝える際に使われます。
- 重なるトラブルを印象的に表すフレーズ
- 「泣きっ面に蜂」「散々な目に遭う」などと並行して使われることも多い
- フォーマルな文章よりは、カジュアルな雑談や相手に同情を示す場面に向く
適切に使えば共感や理解を得やすく、状況の深刻さを手短に伝えるのに便利ですが、公式文書では避けるなど、シーンに応じた言葉選びを心がけるのが大切です。



