「招聘」の意味とは?
正式な手続きを伴う「招き入れる」行為
「招聘(しょうへい)」とは、ある能力を持つ人・専門家・ゲストなどを、礼を尽くして正式に招く行為を指す言葉です。漢字の「招」は「呼び寄せる」、「聘」は「礼をもって招く」を意味します。したがって単に呼び寄せるのではなく、相手に敬意を払って迎え入れるニュアンスが強いのが「招聘」の特徴です。
主に大学や研究機関で外国人講師や著名な教授を呼ぶ際に「招聘教授」と表記されるケースが一般的ですが、ビジネスシーンでも、外部の専門家をプロジェクトに参加させる、海外からVIPを呼ぶといった状況で「招聘」が使われる場合があります。
「招聘」と「招待」「招聘状」の違い
「招待」との比較
「招待」は比較的一般的な表現で、パーティーや懇親会などへ「来てもらう」状況を示します。誰かを誘うこと全般に使えますが、フォーマル度合いはそこまで高くありません。
一方「招聘」は、相手の専門性や権威を尊重しつつ、正式手続きで呼び寄せるニュアンスが含まれるため、より堅い・公的な文脈で使われることが多いです。
「招聘状」とは
「招聘状」は「正式に来訪を依頼するために送る書状」を指します。企業でいえば、外部アドバイザーを委嘱するときや特別顧問になっていただく際に「招聘状」を発行する場合があります。オファーレターのような感覚ですが、より式典や国際交流など儀礼色が強い場面で活用されやすいです。
ビジネスシーンでの正しい使い方
社外有識者や専門家を招くとき
高度な知識が必要なプロジェクトにおいて、特定の専門領域で権威のある人物を呼び寄せ、アドバイスを得るという行為を「招聘」と表現できます。単なる「お願い」や「問い合わせ」ではなく、敬意を持って正式に来てもらうニュアンスが伝わります。
海外取引先やVIPの来訪依頼
海外の要人や特別なゲストを社内イベントや視察に招く際も、文章では「招聘」を用いるのが自然です。「この度、当社の新工場見学に海外の取締役を招聘いたしました」というように、重要な人物を正式にお呼びするケースにぴったりです。
「招聘」の類義語・言い換え表現
「迎える・招く」
「迎える」や「招く」は柔らかい表現で、広いシーンで使えます。ただし「招聘」の持つフォーマルさや敬意は薄れるため、公的な文書や重要な相手への案内にはやや物足りない印象を与えることもあります。
「招聘する → お招きする」
あまり堅すぎないが、敬意を表す必要があるときには「お招きする」を使うことが多いです。結婚式やイベントなどで「各方面のスペシャリストをお招きする」と書くと、ビジネス文書よりややカジュアル寄りながら失礼にならない表現に仕上がります。
「勧請(かんじょう)」
「勧請」は神仏を一定の場所に招く際に用いる伝統的な言葉です。現代ビジネスではほぼ使わないため、類義語とはいえ「招聘」の文脈で置き換えるケースは稀です。
例文で理解する
研究・学術分野
「本学は最新のAI研究に従事している海外の専門家を招聘し、共同研究を進める予定です。」
ここでは「招聘」が外国人研究者を正式に呼ぶニュアンスを強調しています。
企業の社外顧問や講師を招く場合
「新商品開発のプロセス改善に向け、製造業界で著名なエンジニアを招聘し、アドバイザーとしてお迎えしました。」
これは「招待」や「呼んだ」ではなく、敬意を持って迎え入れている印象を持たせます。
注意点と使いどころ
口頭でのカジュアルな会話には向かない
「招聘」はビジネス文書や公的な手紙で使われる語です。日常会話で「先生を招聘するんだよね」というと、やや仰々しい響きを与える場合があります。フォーマルな文書表現として覚えておくのがよいでしょう。
「招待」よりも丁寧かつ公的
同じ“呼ぶ”行為であっても、相手が特別な存在で、正規のプロセスを通じて迎える場合に「招聘」を使うのが最適です。ビジネスイベントや公的機関の取り組みの場合などに適した単語と言えます。
まとめ
「招聘」は、礼儀を尽くして相手を正式に招く場面で使われる表現です。大学や研究所で講師や教授を呼ぶときはもちろん、企業が海外からVIPを招く、専門家を顧問に迎えるなど、正式かつ敬意あるアプローチを示す際に用いられます。
- 「招待」よりフォーマルで、相手の権威や専門性を尊重するニュアンスが強い
- 「招聘状」など、正式な文書で送る手続きが伴う場合が多い
- 日常会話ではやや硬いため、主にビジネス文書・公的文書向けの語
適切に「招聘」を使いこなせば、取引先や有識者との関係性を円滑に構築しやすくなります。大切な場面で敬意を表しつつ正しい手順で呼び寄せたいときは、ぜひ活用してみてください。



