バイラルAI画像の「ベスト盤」を一気に見たければ、AIフェイクを見抜く力を養う目的で制作された新しい動画を視聴するとよい。そこにはスカイダイビングする赤ちゃん、デザイナーのダウンコートをまとった故ローマ教皇フランシスコ、実際には子グマを救出していない船員たち、そしてウィル・スミスがスパゲッティをすする姿など、定番のAI画像が勢ぞろいする。数年前に拡散したこのウィル・スミスのミームは、AI画像が「本物らしく」見えるまでにどれほど改良が必要かを示す初期ベンチマークとなった。
その後、画像・動画を生成するAIツールは驚異的な速度でリアリズムへと近づき、創造的な可能性が広がる一方で、フェイクを真実と誤認するリスクも高まり、時として深刻な結果を招いている。
「危機に瀕しているのは、裏付けられた情報への信頼と民主主義の健全性です」と語るのは、コロンビア大学大学院ジャーナリズム・スクールが発行する『コロンビア・ジャーナリズム・レビュー(CJR)』の臨時編集長ベッツィ・モライスだ。こうした懸念から、CJRはAI生成物と実物を見分ける勘どころを提供するキャンペーン「PSAi」を立ち上げた。
キャンペーンの説明文には次のようにある。「100年以上にわたり、写真はジャーナリストが真実と信頼を築くための最強のツールだった。ところがAI生成画像の登場で、本物と偽物のメディアを区別することがますます難しくなっている」。
PSAiの制作に際し、CJRはクリエイティブエージェンシーのTBWA\Chiat\Day New Yorkと提携し、AI判別の基礎を短時間で学べるテンポの良いミュージックビデオを制作した。映像は広く知られたAI画像を映し出しながら、90年代風ラップで見抜きのコツを伝える。AI特有の違和感に慣れた人には当たり前でも、多くの視聴者には新鮮なアドバイスだ。
歌詞はこう流れる。「余計な指は要注意、完璧すぎるツヤ肌怪しい。髪が滑らか乱れなし、背景の顔がゆがんでいる」。
映像制作にあたり、TBWA\Chiat\Dayのチームはソーシャルメディアをくまなく調べ、ハリケーン・カトリーナの洪水の中で犬を抱きボートを漕ぐ怯えた少女のような感情を揺さぶる画像から、「シュリンプ・ジーザス」のような奇妙なものまで、さまざまなAI生成画像を収集した。これらは「いいね」やシェアが多かっただけでなく、多くの人を本物だと誤認させた点でも選ばれている。
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— Jorge Murillo 💙 (@TheHornetsFury) March 13, 2024



