日本人の英語学習について、「試験英語から始めるのではなく、まず“シンプルな英語を話す力”を育てるべき」と提唱するのは、元英検面接委員であり、英語学習関連書籍や教科書19冊以上の著者であり、「Simple English/シンプルイングリッシュ®」を日本で初めて提唱した酒井一郎氏だ。
以下は、日本人がネイティブ英語がとびかうビジネスシーンで苦戦する理由と善戦のための対策についての酒井氏による寄稿である。
TOEIC800点。英語で会議もこなせる。
そんな日本人ビジネスパーソンが、いざグローバルな交渉の場に出てみると、なぜか話が噛み合わない。説明したはずなのに、誤解されたり、提案がスルーされたり。時には、いつの間にか信頼を失っていることすらある。
その原因は、「英語力の不足」ではない。
本当の要因は、文化的なビジネス感覚のズレにある。
英語圏と日本人——文化の“見えない壁”
日本人が国際ビジネスでやりがちな失敗には共通の構造がある。それは、「英語が話せる」ことで油断して、相手の文化的前提を理解しないままコミュニケーションを進めてしまうことだ。
とくに、英語を母語とする「ネイティブ圏」とのビジネスシーンでは、このズレが顕著に現れる。
ネイティブ英語圏:明確さと主張が信頼を生む
ここでいう「英語ネイティブ圏」とは、主に以下の国々を指す。
これらの国々では、率直で明確な意思表示が「信頼の証」とされる。逆に、遠回しな言い方や曖昧な態度は「信用できない」と取られる可能性が高い。
日本人が陥る典型的な「落とし穴」
1. Yesの誤解
・日本人:「はい」は「理解した」だけのつもり
・ネイティブ圏:「Yes」は「承諾・合意」と見なす
→ 結果:後で方針を変えると「信用できない」と判断される
2. 謙遜=無能に見える
・日本人は謙遜することを美徳とするが、英語圏では「自信がない」「任せてはいけない」と受け取られる
3. 沈黙がNoに見える
・質問に即答しないと、「反対?」「わかってない?」と誤解される
→ 日本の“考える間”が裏目に出る
4. 感情を出さない=熱意がない
・英語圏では、熱意・信念も評価対象。
日本人の冷静さが「本気度が伝わらない」原因に。



